ひとり親世帯やヤングケアラーなど、多様で複合的な課題を抱える世帯や人への支援には、制度の狭間に落ちることなく、様々な立場の人が関わり、個々の状況に合わせた支援が求められる。また、重層的支援は、それぞれの地域が置かれている状況に沿ったものである必要があることや、支援困難事例もあることから、関係機関で情報共有し支援策を検討する支援会議の機能が重要である。
しかし、支援会議の設置が努力義務となっており福祉事務所を設置している906自治体のうち設置済みは323自治体(2022年)となっているため、設置の拡大が求められる。
支援の現場は人材確保難であり、支援する側への支援も重要である。そのためにも、支援に関わる人の処遇改善が欠かせない。支援者の仕事に見合った賃金が支払われ、支援者も1人で悩むことなく、緊急で支援が必要となった場合にも対応できるよう、人材確保と雇用の安定化が求められる。
また、安心して子育てできるようにするためには、子どもや子育て世帯が、「何かあったときは頼れる制度がある」と感じられる環境整備が重要である。「貧困」や「家族へのケア」など、子どもだけでなく世帯全体に関わる課題の解消に向け、子どもの育ちや学ぶ権利を守るための学習・生活支援など生活困窮者自立支援制度による支援とあわせて、子育て短期支援事業や子育て世帯訪問支援事業など家庭支援事業を実施し、重層的に子どもや子育て世帯を支える必要がある。
さらに、課題を抱えた世帯が自立に向け動き出すためには、安心して生活できる住居を確保する必要がある。そのため、国による住居費の支援など、恒常的な居住保障の仕組みを検討すべきである。
6 すべての世代が安心できる社会保障制度の確立

