2025年度重点政策|5 ジェンダー平等で多様性を認め合う社会の実現

5 ジェンダー平等で多様性を認め合う社会の実現

希望する人が自分の名字(氏)を使い続けられる社会の実現 ~選択的夫婦別氏制度~

現在の民法のもとでは、婚姻に際して、いずれか一方が名字(氏)を改めなければならない。自分の氏を名乗り続けられるかどうかは、個人の尊厳や人権に関わる重要な問題である。
連合が実施した「夫婦別姓に関する調査2025」によると、婚姻により氏を変えた際に感じたこととして、「銀行口座やクレジットカードなどの氏の変更が面倒」(69.0%)の割合が最も高く、他に「自分が違う人になったように感じた」(14.8%)、「生活するうえで不便・不利益があった」(12.4%)などの声が挙げられた。男性では「業績や研究実績などのキャリアが分断された」(33.3%)の割合が高い(図1)。夫婦の氏のあり方については、「夫婦は同氏でも別氏でも構わない。選択できる方がよい」(46.8%)が、「夫婦は同氏がよい」(26.6%)を大きく上回った(図2)。また、20代男性の5人に1人が、婚姻の際、いずれか一方が氏を改めなければならないことが、「婚姻の妨げになる」と回答した。
希望する人が自分の氏を使い続けることができるようにする制度が、「選択的夫婦別氏制度」である。あくまで「選択的」であり、夫婦別氏を強制するものではなく、夫婦同氏を排除するものでもない。政府が進める旧姓の通称使用拡大では、国際社会で通用しないだけでなく、人権尊重という要請に応えられない。
1996年に法制審議会が、選択的夫婦別氏制度導入の提言を含む、民法の一部を改正する法律案要綱を答申してから30年が経とうとしている。2024年10月の国連・女性差別撤廃委員会による4度目の勧告もふまえ、人権の尊重、個人の尊厳を基底に置いた社会実現のため、選択的夫婦別氏制度をただちに導入すべきである。

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