2025年度重点政策|4 雇用の安定と公正労働条件の確保

4 雇用の安定と公正労働条件の確保

あらゆるハラスメントの根絶に向けて

厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査」(2023年度)によると、相談があった企業の割合は、パワー・ハラスメント(以下、パワハラ)、セクシュアル・ハラスメント(以下、セクハラ)、顧客等からの著しい迷惑行為の順に高いが、相談件数の増減は、パワハラとセクハラが「減少している」割合が「増加している」より高い一方で、顧客等からの著しい迷惑行為は「増加」が「減少」より大幅に高い(図1)。また、顧客等からの著しい迷惑行為で企業が被った被害は、「通常業務の遂行への悪影響」(63.4%)に次いで、「労働者の意欲・エンゲージメントの低下」(61.3%)、「労働者の休職・離職」(22.6%)と、企業だけでなく労働者に与える影響が大きい(図2)。
こうした背景から、労働施策総合推進法が改正され、カスタマー・ハラスメント(以下、カスハラ)対策と求職者に対するセクハラ対策を事業主の雇用管理上の措置義務とするなど、ハラスメント対策が強化される。
職場におけるハラスメントを行ってはならないことの規範意識の醸成に向け、カスハラ対策についても、中小企業を含め、足並みを揃えて一体的に取り組むように厚生労働省が消費者庁、警察庁、業所管省庁などと連携し、各業界や企業への取り組みを支援する必要がある。あわせて、取引先の労働者などによるカスハラの相談窓口の整備、求職者がハラスメントを受けた際の相談体制の整備・周知と事業主への助言・指導を行うことなどにより、法の実効性確保が必要である。
また、法成立後は、「仕事の世界における暴力およびハラスメントの撤廃に関する条約」(ILO第190号条約)の批准に向けた具体的な検討を進めるべきである。

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