2024年の雇用保険法の改正(図1)により、2025年には、求職者給付の給付制限期間の解除・短縮や、教育訓練休暇給付金および教育訓練受講のための融資制度の創設などが施行され、より多くの労働者へのセーフティネット機能が強化される。
質の高い教育訓練は、労働者のキャリアアップや雇用の安定に資することから、雇用形態や企業規模を問わず活用できることが重要であり、今般の改正とあわせて、教育訓練休暇制度の導入など、企業による教育訓練受講の推進に向けた取り組みが求められる。
一方、コロナ禍における「雇用調整助成金」などの給付により雇用維持につながった反面、雇用保険財政は危機的な状況であり、また、雇用保険制度における国庫負担割合も、一部大きく引き下げられている(図2)。
急激な雇用環境の悪化に対応できるよう、必要な予算確保や一般会計からの繰り入れ、国庫負担割合の引き上げなどを通じた雇用保険財政の安定化が不可欠である。
就職氷河期世代への就労支援は5年間の集中取組期間を終了し、既存の支援策を継続・一部拡充しつつ、2025年4月より35歳~60歳未満の中高年齢者に向けた施策を通じた支援を行うことになった。
就職氷河期世代が利用可能な研修・講座数の増加やマッチングにおける対象企業の拡大など、支援を必要とする者の選択肢が広がるため、個々の支援の質の向上に取り組むことで、政策効果を一層高めていく必要がある。
また、世代ごとに異なるニーズに対応した良質な雇用・就労機会の実現には、各世代に応じた個別支援の充実が求められる。個々人のニーズや状況に合わせたキャリア形成支援や、能力開発、マッチング等の適切な就職・定着支援が重要であり、その役割を担うハローワークなどの機能強化が不可欠である。
あわせて、地域雇用活性化事業などの強化にも取り組むことで、人材育成と雇用確保の両面から良質な雇用の拡大をはかっていく必要がある。
4 雇用の安定と公正労働条件の確保
