2025年度重点政策|4 雇用の安定と公正労働条件の確保

4 雇用の安定と公正労働条件の確保

「働き方」の多様化が進む中での就労者保護の強化とワークルール教育の推進

2024年11月にフリーランス新法が施行された。同法施行により、発注事業者に書面による取引条件の明示が義務づけられるなど、フリーランスの就業環境整備は一歩前進した。今後は法の実効的な運用とともに、最低報酬の設定や仲介事業者に対する規制強化など、フリーランス保護に向けた更なる法的保護が必要である。
また、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案が2025年5月8日に成立した。今回の改正により、フリーランスなどの個人事業者を法の適用対象とするとともに、災害報告制度の創設などがはかられることとなる。法案の円滑な施行により、個人事業者が安心・安全に働くことができる環境の整備が求められる。
他方、フリーランスの中には「労働者」に近い働き方であるにもかかわらず請負などで就業する「曖昧な雇用」の者も少なくない。これらの者を「労働者」として保護する視点も欠かせないが、労働者性の判断基準は約40年前に示されて以降見直しがなされていない(図1)。そうした中、厚生労働省の研究会で判断基準の見直し論議が開始されようとしている。今こそより多くの者が「労働者」として労働法の保護を受けることができるように見直すべきである。
さらに近年は、単発で短時間の仕事ができる「スポットワーク」といった働き方も拡大しつつある。しかし、連合調査によれば、同従事者の約半数がトラブルを経験するなど(図2)、就労者保護に欠ける実態も浮き彫りになっている。「働き方」が多様化する中、トラブル防止のためには適切な法規制の整備とともに、労使双方がワークルールを理解することが欠かせない。今こそ、「ワークルール教育推進法」を策定し、教育を通じて就労者保護の基盤を築くことが必要である。

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