マイナンバー制度は、公平・公正な税制、税による所得再分配機能の強化、安心と信頼の社会保障制度の確立、国民生活の利便性向上などを実現するために不可欠な社会基盤である。政府は、マイナンバーの活用によってめざす社会への国民の理解が深まるように一層取り組むべきである。
また、マイナンバーカードは、公的個人認証を可能とするツールであり、デジタル行政の促進に向けた「アクセスキー」としての活用が期待されている。交付率は2025年1月時点で85%を超えるところまできたが、マイナンバーにまつわるシステム不備や誤登録が未だ生じている。こうした事態を政府は重く受け止め、国民の信頼回復に向けた丁寧な説明と再発防止に全力を尽くすとともに、個人情報管理体制の一層の強化やその周知(図1)により、国民の安心や信頼を高めることも重要である。
そのうえで、国民生活の利便性向上に向けては、健康保険証や運転免許証との一体化が始まったことに加え、今後も国家資格などとのひも付けやオンライン・ペーパーレス手続きの拡充、マイナンバーカード機能のスマホ搭載(開始済みのAndroid端末に加え、iOS端末への搭載を検討中)などが順次進められている。
さらには、マイナンバーとすべての預貯金口座情報をひも付けることによって、マイナンバー制度の本来の目的である、正確な所得捕捉にもとづいた真に支援を必要とする層へのプッシュ型支援制度や、税と社会保障給付の一体的運営による「給付付き税額控除」の仕組みの構築、金融所得課税を含む所得税の総合課税化などの実現に向けた検討を加速すべきである(図2)。
3 マイナンバー制度の理解促進と一層の活用


