2024年度重点政策|8 東日本大震災からの復興・再生と防災・減災対策の充実

8 東日本大震災からの復興・再生と防災・減災対策の充実

すべての人が安全・安心に避難できる防災・減災対策の徹底

 東日本大震災の被災地域では、住まいの再建やインフラ整備などが概ね完了し、復興の「総仕上げ」の段階にある。被災者が安心して生活できるよう、地域コミュニティの形成や心身のケア、孤独・孤立や生活困窮など複雑・多様化している課題について、今後も重層的な支援に取り組む必要がある。
 近年相次ぐ自然災害に対し、日頃からの備えとして、人命を最優先にした防災・減災の取り組みについて強化しなければならない。また、能登半島地震で浮き彫りになった課題も整理し、教訓として生かさなければならない。
 具体的には、災害を想定したインフラ整備や、災害時にすべての人が安全・安心に避難できるよう、防災情報がすべての人に行き届く、複数のプッシュ型の伝達手段を確保することなどが求められる。
 2021年5月の災害対策基本法改正で、災害時に周囲の支援が必要な高齢者や障がい者らが避難する方法などを事前に決める「個別避難計画」の作成が市区町村の努力義務になった。しかし、2023年1月1日現在、約4分の1の地方自治体が未作成となっている(図1)。また、個別避難計画は作成するだけに終わらせず、防災情報が確実に届くかといったことを含め、避難訓練をするなど実効性を確保するための取り組みも重要である。
 内閣府の世論調査(2022年12月)によると、災害が起こった時に充実してほしい情報(複数回答)は、「震度・雨量・特別警報などの情報」(65.4%)が最も多く、次いで「ライフラインの復旧見通し」(62.0%)となっている(図2)。こうした情報は住民の生命・身体の安全に直結するものであり、安全な避難を促すためにも、タイムリーな発信が欠かせない。
 加えて、防災・減災対策を強化するためには、より多くの女性が防災の意思決定過程に参画できるようにすることや、避難所の運営などに高齢者や障がい者、外国人らを含めた多様な意見を反映させることが必要である。

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