1948年に定められた保育士職員配置基準のうち、4・5歳児の基準が76年ぶりに見直された(図1)。2024年4月から、子ども30人に対し保育士1人だった基準は25人に1人になった。また、2015年から3歳児の基準について、20対1を15対1で配置している施設に対し加算措置を実施してきたが、基準自体が変更されたほか、2025年度以降、1歳児の基準も見直されることとなった。
量ばかりが先行し、後回しにされてきた保育の質についてようやく対応がはかられる。保育所や認定こども園などの待機児童は減少傾向にあるものの(2,680人(2023年4月))、放課後児童クラブは前年に比べ1,096人増の16,276人(2023年5月)にのぼり、都市部を中心に待機児童問題は解消していない(図2)。
保育の受け皿の整備にあたっては、職員配置の改善や安全面の強化などによる、保育の質の確保が重要である。
具体的には、保育所に対する実地監査を徹底し、子どもの安全を守り、子どもを安心して預けられる環境を整備するとともに、認可施設への移行支援を強力に進めることが求められる。
放課後児童クラブでは、常勤職員配置による処遇改善を確実に実施することで安定的な運営が行えるようにし、子どもの居場所づくりを推進する必要がある。
そして、なにより保育施設で働くすべての職員の賃金・労働条件を早急に改善し、保育所や放課後児童クラブに必要な人材を確保しなければならない。
また、子どもの権利に関する国民の理解を深めるため、「こども基本法」の周知徹底や、行政から独立した立場で子どもの最善の利益を追求する機関の設置が求められる。
さらに、子どもに対する体罰や有害な言動を禁止し、子どもの人格を尊重するよう改正された民法の周知徹底、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援などにより、社会全体で子どもや子育て世帯を支えていく必要がある。
6 すべての世代が安心できる社会保障制度の確立
