2024年度重点政策|5 ジェンダー平等で多様性を認め合う社会の実現

5 ジェンダー平等で多様性を認め合う社会の実現

選択的夫婦別氏制度の早期導入

 婚姻による名字・姓の変更により不便・不利益が生じると思う割合は、男女問わず約半数を占める(図1)。その具体的な内容として、「姓を変更した側のみに名義変更の負担があるなど、日常生活上の不便・不利益がある」「仕事の実績が引き継がれないなど、職業生活上の不便・不利益がある」「実家の名字・姓を残せなくなることなどから、婚姻の妨げになる」などが挙げられている(図2)。結婚により姓を変更している9割以上は女性であり、仕事や生活面での不利益や負担が著しく女性に偏っている。
 政府は旧姓の通称使用拡大を進めており、マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどでは旧姓併記が可能であるが、外務省はパスポートへの旧姓併記に関し、「国際規格に準拠しない例外的な措置である」としており、旧姓の通称使用には限界がある。
 2020年、当時の法務大臣が「夫婦の同氏制を採用している国は我が国以外には承知していない」と発言しており、国連の女性差別撤廃委員会からは選択的夫婦別氏制度の導入を再三勧告されている。また、法制審議会総会は、1996年に選択的夫婦別氏制度導入を答申しており、改正法案要綱がまとまっていたにもかかわらず30年弱もたなざらしにされたままである。
 職業活動上の不利益、金融機関での手続きの煩雑さ、旧姓併記に対応した仕組み・システム変更に伴うコスト負担などから、経済界からの選択的夫婦別氏制度の早期導入に対する要望も高まっている。男女不平等を是正し、人権の尊重、個人の尊厳を基底に置いた社会実現のため、今こそ選択的夫婦別氏制度を導入すべきである。

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