(横断的な項目)・非正規雇用に関わる政策

非正規雇用に関わる政策<背景と考え方>

  1. (1)わが国におけるパートタイマー、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託職員、臨時・非常勤職員などの非正規雇用で働く人は2021年平均で2,026万人(36.7%)となっている。そのうち正社員として働きたいが職が見つからず非正規雇用で働く人(不本意非正規)は214万人(10.7%)である(総務省「令和3年労働力調査(詳細集計)」)。また、非正規雇用で働く人の年間収入は200万円未満が4割を占め、中央値で225万円となっている(連合「連合パート・派遣等労働者生活アンケート」2021年実施)。
  2. (2)非正規雇用の問題は、雇用の不安定さや不合理な労働条件の格差に加えて、職業能力の開発や社会保険適用の機会も十分ではないことにあり、これらは、今般のコロナ禍において一層その実態が明らかとなった。所得減と将来不安による需要の減退、未婚化・少子化、社会保障制度の空洞化、企業における現場力や生産性の低下などにもつながり、社会の安定や経済の持続的な成長、国の財政基盤にも悪影響を及ぼす。社会・経済の安心・安定に向けて、成長分野での安定した雇用の創出、再就職支援・職業訓練、雇用・処遇改善につながるワークルールの確立、社会的セーフティネットの整備は喫緊の課題となっている。
  3. (3)「同一労働同一賃金」(職場における雇用形態間の不合理な処遇の差の是正)の実現に向けて労使への周知・徹底、相談・支援体制の充実を図るなど、円滑な法施行に向けた取り組みを強化する。また、有期労働契約については2012年に施行された改正労働契約法施行後の運用状況の検証をおこない、残された課題に引き続き取り組む。労働者派遣については2015年改正法施行後の運用状況を検証し、派遣労働者保護のための必要な措置をおこなう。法整備の施行状況や司法判断などを踏まえつつ、雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇の実現に向けた取り組みを強化する。
  4. (4)公共サービス分野においても非正規雇用は拡大している。公務職場において、厳しい財政状況によるコスト優先の入札と受注価格の低下によって、臨時・非常勤職員等の不安定雇用・低所得層の増加を招いている。公共サービスの効率化は求められるが、労働者の労働条件が犠牲にされることは許されない。公共サービスに従事する労働者が公正な労働条件のもとで働くためには、同一労働・同一賃金の実現に向けて処遇改善に向けて臨時・非常勤職員の雇用安定と処遇改善に向けてパート・有期雇用労働法の主旨を踏まえた更なる法整備が必要となっている。
  5. (5)非正規雇用の中でも、雇用契約ではない、いわゆる雇用類似の働き方と呼ばれる就業者が増加している。これに対応し、労働者概念の拡大や法的保護についても検討する必要がある。

1.ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を中心に据えた雇用の拡大をはかるとともに、劣化した雇用の質を回復させる。(「雇用・労働政策」1.より再掲)

  1. (1)産業政策と雇用創出を一体的に推進し、良質な雇用の拡大をはかることで完全失業率2%台を堅持しつつ、雇用の質の回復を実現する。雇用および労働は、経済と社会の発展を支えるための前提であり、雇用の質の向上と働く意欲のある労働者の完全雇用実現の方策を、国の基本政策の中心に据える。
  2. (2)雇用の原則は「期間の定めのない直接雇用」であることを基本とし、非正規雇用から正規雇用への転換を促進する。
  3. (3)劣化した雇用の質を回復させるため、過労死やいわゆる「ブラック企業」などの問題に早急に対処するなど、国および地方自治体における労働行政を充実・強化する。
  4. (4)ディーセント・ワークの実現に向け、人や社会の成長を促す雇用・労働環境の整備、公平・公正なワークルールの整備と社会保障システムの再構築、職場における諸課題の解決システムの強化、労働政策を支える基盤の充実、職業生活を通じた自己実現をはかる観点から、「雇用基本法」(仮称)の策定をはかる。労働者が主体的に職業生活を充実・発展させていくことを基礎づける権利としての「キャリア権」を「雇用基本法」(仮称)に規定する。

 

2.失業から良質な雇用に早期に復帰・移行できるセーフティネットを拡充する。(「雇用・労働政策」2.より再掲)

  1. (1)雇用保険制度の充実をはかる。(「雇用・労働政策」2.(1)より一部再掲

    ①雇用形態にかかわらず、すべての雇用労働者に雇用保険を適用することとし、雇用保険の適用対象の拡大(週所定労働時間10時間未満の労働者、日雇労働求職者給付の受給資格要件の緩和など)をはかる。

    ②基本手当について拡充する。

    a)法定賃金日額・所定給付日数・給付率を2000年改正前の水準にまで回復する。

    b)特定受給資格者以外(一般離職者)に対する給付制限期間(1ヶ月)について、期間短縮などの見直しを行う。

    c)災害時における雇用保険の特例措置(実際に離職していなくとも基本手当の受給が可能となる措置)について、制度利用後に雇用保険被保険者資格を取得した場合、休業又は一時離職前の雇用保険の被保険者であった期間も通算できるようにする。

    d)所得再配分と生活保障の観点から、「最低保障手当額」(仮称)の創設、家族を扶養する求職者の基本手当の手当額加算など、セーフティネットの拡充を検討する。

    ③2026年度までの暫定措置である特定理由離職者(雇止めなどによる離職者)の所定給付日数の拡充については、制度の恒久化や雇止め離職者を特定受給資格者の対象へ追加するなど、有期契約労働者のセーフティネットを確保する。

    ④教育訓練給付制度については、能力開発やリスキリングの推進が国の重要な政策課題とされていることから、国の責任により一般財源で実施するよう見直しを行う。

    ⑤65歳以上の多重就労者を対象に試行中の2つの事業所の労働時間を合算して適用するマルチジョブホルダー制度については、試行結果を踏まえ、65歳未満への適用拡大や、多重就労時の週所定労働時間の合算のあり方について検討を行う。また、対象となる労働者に対し、十分に周知・広報を行う。

  2. (2)公共職業安定所(ハローワーク)の機能を強化する。(「雇用・労働政策」2.(2)より一部再掲

    ①ILO第88号条約(職業安定組織の構成に関する条約)にもとづき、無料職業紹介、雇用対策(企業指導)、雇用保険(失業認定と失業給付)は国の指揮監督と責任により、全国ネットワークで一体的に運営する。

    ②国と地方自治体が連携して就労支援・生活支援を行う「一体的実施事業」を推進する。その際、運営協議会への地域労使の参画をはかり、求職者・利用者の利便性を向上させる。

    ③ハローワークの常勤職員を増員し、非常勤職員の常勤職員への転換を進めるなど、組織・人員体制を強化する。

    ④新卒者や3年以内の既卒者の支援を行う「ジョブサポーター」や、求職者の状況に応じたきめ細かな支援を行う「就職支援ナビゲーター」の増員、障がいや難病を抱える求職者の就労支援を行う専門サポーターの増員、「ジョブ・カード制度」の技能・評価情報の活用などを通じ、キャリア・コンサルティング機能を向上させ、マッチング機能を強化する。

    ⑤就労を希望する高齢者に対し、ハローワークの生涯現役支援窓口等を活用しつつ、本人の意向を踏まえた適切な就労支援を行う

  3. (3)求職者保護の強化をはかる。(「雇用・労働政策」2.(3)より再掲

    ①2022年改正職業安定法の周知・徹底するとともに、適正な履行を確保する。また、募集情報等提供事業者の規制のあり方については、実態を把握した上で引き続き検討を行う。

    ②雇用のミスマッチ減少のため、求職者等への職場情報提供の充実をはかる。

    ③急拡大しつつある「スポットワーク」については、実態把握を行った上で、トラブル防止の観点から適切な指導・監督を行う。加えて、「スポットワーク」事業者に対する規制強化も含め、労働者保護に資する適切な法規制のあり方を検討する。

 

3.有期契約、パートタイム、労働者派遣、請負など、多様な雇用・就業形態の労働者の雇用の安定と公正な処遇を確保する。(「雇用・労働政策」4.より全文再掲)

  1. (1)同一労働同一賃金の法整備の施行状況や待遇差に関する司法判断の蓄積などを踏まえつつ、雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を実現に向けた取り組みを進める。

    ①同一労働同一賃金に係る法整備の実効性を確保するため、「同一労働同一賃金ガイドライン」を含め、パート・有期雇用労働者のあらゆる待遇差の改善に関し、労使への周知徹底をはかる。併せて、相談・支援体制の一層の充実・強化をはかる。

    ②待遇差の合理性の立証責任の使用者への転換や、待遇差が無効とされた場合の補充効の明確化など、残された課題について検討を進める。

    ③派遣労働者の待遇決定に関しては、派遣先から派遣元への情報提供義務の徹底など、法の実効性を確保するための周知及び指導徹底をはかる。

  2. (2)有期労働契約について、2012年改正労働契約法や有期特措法、2023年改正の労基則および雇止め告示の施行後の運用状況の検証を行い、残された課題に引き続き取り組む。

    ①労働契約法第18条の無期転換ルールについて、有期契約労働者の雇用の安定をはかるため、無期転換を希望する有期契約労働者が確実に権利行使できるよう労使への周知を徹底し、必要な指導等を行う。また、無期転換権行使の実効性を確保するための方策について引き続き検討する。

    ②無期転換後の労働者におけるあらゆる待遇差の改善に向けて、労使への周知を徹底し、必要な指導等を行う。

    ③有期労働契約の締結には合理的理由を必要とする入り口規制を行う。

    ④「有期労働契約の締結、更新および雇止めに関する基準」(大臣告示)の法制化をはかり、雇止め予告について、予告期間未満の場合の手当の支払も含めた制度化を検討する。

    ⑤有期特措法について、法施行後の特例の適用状況の検証を行い、労働者保護の趣旨が損なわれている場合には廃止も含めた制度の見直しを行う。

  3. (3) 2020年7月の労働力需給制度部会における「労働者派遣制度に関する議論の中間整理」を踏まえ、改めて法の周知を徹底するとともに、厳格な指導・監督を行う。

    ①派遣労働者の希望を踏まえた雇用安定措置や、派遣期間延長の際の労働組合等への意見聴取の着実な実施を徹底する。

    ②引き続き検討課題とされた派遣先の団交応諾義務について、法定化に向け、労働組合法との関係も含めて早期に専門的見地から検討を開始する。

    ③「労働契約申込みみなし制度」の運用状況を検証しながら必要な見直しを行うとともに、対象となる偽装請負・違法派遣の一掃に向けた指導・監督を強化する。

    ④日雇い派遣は原則禁止を堅持し、禁止の例外事由の拡大などは行わない。

  4. (4)就業者保護の観点から法的に未整備の部分が多い、「クラウド・ソーシング」の普及などにより拡大傾向にある「自営型テレワーク」や「個人請負」「委託労働」などの形態で働く者について、適切な保護をはかる。

    ①労働基準法などの規定の趣旨に照らして保護すべき労働者は、雇用労働者に適用される労働関係法令を適用する。

    ②「曖昧な雇用」で働く就業者保護をはかるべく、「労働者」概念を社会の実態に合わせて見直し、拡充する。

    ③フリーランス新法にもとづく契約ルールの適正化やハラスメント防止などの実効性を確保するとともに、最低報酬の設定や仲介業者に対する規制等の法整備をはかる。

    ④「曖昧な雇用」で働く就業者のうち、より独立性、事業者性が強い働き方をする者に対しては、個別の論点により保護の必要性について検討する。

  5. (5)副業・兼業の安易な推進は行わない。また、複数就労せざるを得ない者の保護に向け、法的未解決の課題を整理する。

    ①労働保険については、すべての雇用労働者にとってのセーフティネットとなるよう、適用と給付のあり方について検討を進める。

  6. (6)国や地方自治体の臨時・非常勤等職員の雇用の安定と待遇改善をはかるため、公務が適用除外とされる労働契約法やパート・有期法の趣旨が国家公務員・地方公務員制度へ反映されるようにさらに必要な法整備をはかる。

 

4.雇用労働環境の変化などに対応するワークルールの整備、確立をはかるとともに、集団的労使関係システムを構築する。(「雇用・労働政策」5.より再掲)

  1. (1)労働者保護の視点から、内定取消しの法理など確立した判例法理を条文化するなど、労働契約法の内容を強化し充実化する。

    ①労働契約法が対象とする労働者の範囲を拡大する。

    ②ILO第158号条約(使用者の発意による雇用終了に関する条約)を批准する。

  2. (2)整理解雇4要件については、判例で確立した4要件は緩和しない。また判断の基準を明確にするため、4要件を法制化する。
  3. (3)不当な解雇を拡大しかねない解雇の金銭解決制度は導入しない。
  4. (4)労働基準法第15条の労働条件の書面による明示の徹底をはかるとともに、いわゆる「固定残業代」のトラブルが生じていることを踏まえ、労働基準法施行規則を改正し、書面の交付にて明示しなければならない労働条件に「法定労働時間を超える労働時間があるときの時間外割増賃金の計算及び支払の方法」を追加する。
  5. (5)労働基準法における就業規則の作成・届出義務の対象は、10人以上から5人以上に拡大する。
  6. (6)過労死問題や、若者の使い捨てが疑われるいわゆる「ブラック企業」問題に対しても適切に対処するため、国および地方自治体における労働行政を充実・強化する。

    ①労働基準監督官をILO が提唱する基準(労働監督官1人当たり最大労働者数1万人)まで増員する。監督の強化に向けた根拠規定を整備し、違反した場合に企業名を公表するなど労働基準法違反への適正・厳格な対応をはかる。また、派遣・請負・個人請負など、多様化する雇用・就業形態に対応できるよう改革する。

    ②労働基準監督署の再編整理に関する具体的な計画は、労働政策審議会の調査・審議事項とする。

    ③国は、地方自治体が行う労働相談への支援や労働関係調査の委託事業の充実など、集団的労使関係を扱う地方における労政行政の充実・強化をはかる。

    ④国は労働者の基本的な権利・義務の周知・啓発を行う労働者教育施策を行うとともに、都道府県が行う労働者教育施策について支援を行い、労働者の権利に関する理解を促進する。

  7. (7)事業譲渡、合併など、あらゆる事業再編において、労働組合などへの事前の情報提供・協議を義務づけるなど、労働者保護をはかるための法制化を行う。

    ①分割・統合やM&Aに際し、企業に労働者に対しての責任をもたせるため、会社法の中に「労働者」という概念を導入して労働者の要件を法的に明確にし、労働者が不利益にならないような措置を講じる。

    ②すべての事業組織の再編において、労働契約の承継や解雇の制限、その他雇用の安定に必要な措置を強化する。

    ③労働組合などへの事前の情報提供・協議を義務化する。

  8. (8)民法(債権法)改正に対応して、労働者保護の観点から労働関係法の整備をはかる。

    労働基準法第115条の消滅時効の期間については、民法(債権法)と同様の5年とする。

  9. (9)雇用・就業形態の多様化や企業組織の変化を踏まえ、親会社および親会社経営者が子会社従業員の雇用・使用者責任を負うべきことを明確化するとともに、純粋持株会社、グループ企業、派遣先企業、投資ファンドなどにおける使用者概念を明確化する。また、グループ企業などにおける労使関係のあり方について検討を行う。

 

5.若年者、女性、高齢者の雇用対策を強化する。(「雇用・労働政策」7.より再掲)

  1. (1)すべての若者への良質な雇用・就労機会を実現する。(「雇用・労働政策」7.(1)より再掲

    ①良質な就労機会の実現に向け、若者雇用促進法の確実な実施、正規雇用化の促進、労働教育の充実などを通じた若者雇用対策を講じる。

    a)地域の特性を活かした雇用創出と地域再生を促進する。若者の安定した雇用確保に向け、地域の関係者が連携し、人材育成機会と若者の就労を積極的に支援する。

    b)事業所内外での職業訓練の拡充を通じて非正規で働く若者の正規雇用化を促進する。学校などにおいて、ワークルールの知識など、働く際に必要な労働教育の法制化などを推進する。

    c)学校とハローワーク等が連携し、若者の就職支援を強化する。また、若者雇用促進法を踏まえ、就職活動を行う若者が必要とする企業情報の開示を徹底するとともに、就活サイトなどの実態把握を行い、若者に適切な情報提供が行われるよう指導・監督を行う。インターンシップや内定先が行う研修・アルバイトについて、トラブル防止に向けたガイドラインの整備を行うとともに、労働者性がある場合には、労働法規が遵守されるよう行政指導を徹底する。

    d)若者が働き続けられる環境の整備に向けて、ワークルール遵守の徹底、ワーク・ライフ・バランスの実現など、労使の取り組みを促す施策を推進するとともに、若者の定着支援策を行う。

    ②若者雇用促進法について、青少年雇用情報の提供項目を増やす見直しを行う。

    ③少なくとも内定時には書面にて労働条件が明示されるよう、法整備を進める。

  2. (2)意欲ある高齢者が生きがい・やりがいを持って働くことのできるよう高齢者の雇用対策を講じる。(「雇用・労働政策」7.(3)より再掲

    ①高年齢者雇用安定法に定める「高年齢者雇用確保措置」を確実に実施し、希望する者全員の65歳までの雇用を実現する。

    a)同一労働同一賃金に関する法律への対応を確実に実施し、通常の労働者と定年後継続雇用労働者をはじめとする60歳以降のパート・有期雇用で働く労働者との間の不合理な待遇差を確実に是正する。その上で、産業や業種・職種ごとに異なる労働環境等を勘案しながら、個別の労使協議を通じて、企業や職場において最適な働き方を検討するよう周知を図る。

    b)現行の高年齢雇用継続給付制度については、セーフティネットの観点から継続するとともに、給付率の縮小にあたっては激変緩和措置を講ずる。また、同一労働同一賃金の観点から適正な賃金水準を確保する。

    c)60歳定年企業において継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者に対し、就労を継続するために必要な支援を強化する。また、地域社会における雇用機会の創出や、地域の企業における求人の掘り起こしなどを通じ、社会横断的な高齢者の雇用確保に向けた施策も講じつつ、雇用のマッチング機能をさらに強化する。

    d)「高年齢者雇用確保措置」の対象外とされている有期労働契約を反復更新して60歳を迎える労働者についても、65歳までの就労が確実に確保されるよう、高年齢者雇用安定法を改正する。同時に、有期労働契約の労働者について、65歳までの安定した雇用確保をはかるため、当該労働者を65歳まで雇用する事業主に対する助成を拡充するなど、雇用と年金を確実に接続するための雇用支援措置を講じる。

    ②意欲ある高齢者が年齢に関わりなく、働くことのできる環境を整備する。

    a)高齢者が働きやすい環境の確保に向けて、高年齢雇用継続給付金のあり方を含めた高齢者の処遇のあり方、身体・健康状態を踏まえた適正配置や配慮義務の創設などの高齢者が働きやすい職場環境整備、法定定年年齢の65歳への引き上げや70歳までの雇用確保など、総合的な観点からの議論を加速する。

    b)70歳まで継続雇用年齢が引き上げられたことに伴い、高年齢雇用継続給付の受給可能年齢を65歳から70歳に引き上げる。

    c)高齢期における多様な働き方のメニューが用意されるよう、助成金や税制優遇措置など、労使の取り組みに対する支援を行う。

    d)新しい機械・技術への対応も必要となることから、定年前の早い段階から長期の職業能力開発施策を充実する。

    ③高齢者の健康状態に柔軟に対応するため、職場におけるきめ細かな職場環境の改善や、安全と健康管理のための配慮事項の整理など、ハード・ソフト両面からの対応をはかる。

    a)高齢者のための職場環境整備に対する助成金を拡充する。

    b)労働災害防止の観点から、労働者個々人の健康・体力状況の把握や、身体機能向上に向けた健康作りを推進する。

    c)安全と健康確保のための配慮事項の整理や、勤務条件や健康管理などの好事例を展開するとともに、導入を促進するための支援を強化する。

    ④シルバー人材センター事業において、職業紹介事業および労働者派遣事業に限り実施可能である「臨・短・軽」要件の緩和にあたっては、労働者を保護し、民業圧迫が発生しないよう対応をはかる。また、同事業における派遣・請負の区分については、ガイドラインなどを踏まえ、適正に運用する。

 

6.雇用の分野における性差別を禁止し、賃金格差の是正、男女の平等を実現する。(「雇用・労働政策」8.より再掲)

  1. (1)女性活躍推進法を以下のように見直す。(「雇用・労働政策」8.(4)より一部再掲

    ①法の目的に、人権と性差別禁止にもとづいた雇用平等の実現と、非正規雇用も含めたすべての女性を対象とする格差是正と貧困の解消、および長時間労働削減による仕事と生活の調和の推進および法が女性差別撤廃条約の理念にもとづくことを明記する。

    ②状況把握、分析、情報開示は、パートタイム労働者、有期契約労働者、派遣労働者、臨時・非常勤職員等を含むすべての労働者を対象とする

    ③すべての事業主に対し、雇用の全ステージにおける男女別の比率、男女別の配置状況、教育訓練(OJT、OFF-JT)の男女別の受講状況、両立支援制度の導入や男女別の利用状況、男女の賃金の差異、男女別の1つ上位の職階へ昇進した者の割合、男女の人事評価の結果における差異、非正規から正規への転換制度の有無と転換実績の男女別データ、各項目に関する現状把握、分析、情報開示を義務とする。

  2. (2)すべての労働者の均等・均衡待遇の実現と労働条件の向上に向けて、以下のようにパート・有期法の改正を行う。(「雇用・労働政策」8.(5)より一部再掲

    ①第7条(就業規則の作成の手続)について、パートタイム労働者もしくは有期雇用労働者用の就業規則を作成・変更する場合は、パートタイム労働者もしくは有期雇用労働者のそれぞれ過半数を代表する者から意見を聴取することを事業主に義務づける。

    ②第9条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)については、要件でパート・有期雇用労働者の待遇を分ける規定を削除し、第8条(不合理な待遇の禁止)と統合する。将来的には、すべてのパート・有期雇用労働者を対象に、合理的理由がある場合を除き、待遇についてパート・有期雇用労働者であることを理由とする差別的取扱いを禁止する。

    ③第10条(賃金)について、合理的な理由がない待遇の格差を禁止した上で、合理的な理由が認められた場合でも、均衡待遇の具体的な改善策を講じるよう事業主に措置義務を課す。

    ④第11条(教育訓練)について、通常の労働者と職務の内容が同一であるパート・有期雇用労働者には、職務遂行に必要となるもの以外の教育訓練も、通常の労働者に準じて実施することを義務づける。

    ⑤第13条(通常の労働者への転換)について、「短時間正社員制度」の活用を含めて正規労働者への転換の間口を広げ、キャリアラダーを整備し、希望する者の正規労働者化を促すことについて、事業主に義務を課す。また、差別的取り扱いの禁止の対象となる通常の労働者と同視すべきパート・有期雇用労働者が希望する場合は、優先的に雇用する。

    ⑥第14条(事業主が講ずる措置の内容等の説明)について、通常の労働者との待遇の違いの程度とそれが生じた理由を含めて説明する手段は、文書によることとする。

    ⑦パート・有期法および省令、指針などを周知徹底するとともに、監督・指導体制を強化し、法の実効性を確保する。

    ⑧パート・有期法の努力義務規定にも紛争解決援助制度の対象を拡大する。また、労働契約法第18条の無期転換権を行使した労働者やパートとして採用されながらフルタイムで働いている無期雇用労働者に対する不合理な差別は、パート・有期法の脱法的行為として、同法に関する紛争解決手続を利用できるようにする。

    ⑨差別救済制度を設け、以下のようにする。

    a)政府から独立した雇用平等委員会を設置し、都道府県単位で支部を設置する。

    b)救済の対象は、雇用の全ステージおよび賃金等の労働条件に関する性差別(性的指向・性自認に関する差別を含む)、仕事と育児・介護に関する両立支援、パート・有期雇用労働者等の均等・均衡待遇等、その他の労働条件に関する法違反および差別的取り扱いや不利益取り扱いの他、ハラスメントがあるときとする。

    c)救済申し立てを理由とする不利益取り扱いを禁止する。

    d)差別・格差の合理的根拠を示す証拠およびその裏づけ資料の提出義務は事業主にあるものとする。

    e)資料の提出がない場合、あるいは資料の提出があっても合理的根拠が認められない場合には、差別を認定して是正を勧告できるようにする。また、委員会は差別の認定に関して調査する権限を持つものとする。

    f)事業主がこの勧告にしたがわない場合は刑罰を科す。

    ⑩第28条(雇用管理の改善等の研究等)に、厚生労働大臣は、教育訓練の実施やパート・有期雇用労働者に関する評価制度(職務評価・職業能力評価)について資料の整備を行い、必要な事業主に対して提供することを促進していくことを明記する。

  3. (3)労働条件の時間比例を原則とする「短時間公務員制度」などの導入を行い、公務における臨時職員・非常勤職員の雇用安定と処遇改善をはかる。(「雇用・労働政策」8.(7)より再掲
  4. (4)男女間および雇用・就業形態間の賃金格差是正の実現へ向け、日本が批准しているILO第100号条約「同一価値労働・同一報酬」の実効性を確保のため、職務評価手法の周知・普及とさらなる研究開発を進める。(「雇用・労働政策」8.(8)より再掲
  5. (5)国内法を整備し、ILO第111号条約(雇用および職業についての差別待遇の禁止)、ILO第171号条約(夜業禁止)、ILO第175号条約(平等なパートタイム労働)、ILO第183号条約(母性保護)、ILO第189号条約(家事労働者)の早期批准を行う。(「雇用・労働政策」8.(13)より再掲

 

7.人間らしい働き方を実現するために、男女が仕事と生活を調和できる環境を整備する。(「男女平等政策」3.より再掲)

  1. (1)国は、男女がともに仕事と生活を調和できる環境を整備するため、育児・介護休業法を以下のように改正し、「両立支援法」とする。(「男女平等政策」3.(5)より一部再掲

    ①有期雇用労働者の育児休業・介護休業の取得要件を撤廃する。

    ②育児・介護など、多様な労働者のニーズに応じて、フルタイムの正社員と転換可能な短時間正社員制度の導入が進むよう支援を拡充する。

    ③差別救済制度を設け、以下のようにする。

    a)政府から独立した雇用平等委員会を設置し、都道府県単位で支部を設置する。

    b)救済の対象は、雇用の全ステージおよび賃金等の労働条件に関する性差別(性的指向・性自認に関する差別を含む)、仕事と育児・介護に関する両立支援、パート・有期労働者等の均等・均衡待遇等、その他の労働条件に関する法違反および差別的取り扱いや不利益取り扱いの他、ハラスメントがあるときとする。

    c)救済申し立てを理由とする不利益取扱いを禁止する。

    d)格差の合理的根拠を示す証拠およびその裏づけ資料の提出義務は事業主にあるものとする。

    e)資料の提出がない場合、あるいは資料の提出があっても合理的根拠が認められない場合には、差別を認定して是正を勧告できるようにする。また、委員会は差別の認定に関して調査する権限を持つものとする。

    f)事業主がこの勧告にしたがわない場合は刑罰を科す。

 

8.すべての働く者に対する職業能力開発施策と日本の成長と競争力を支える人材の育成を強化する。(「雇用・労働政策」10.より再掲)

  1. (1)安定した質の高い雇用へ向けた職業訓練を実施する。(「雇用・労働政策」10.(1)より一部再掲

    ①雇用形態や企業規模、在職・離職の違いにかかわらず、すべての働く者が自己の職業能力を最大限に開発・発揮し、安定した質の高い雇用に就くことができるよう、適切な職業能力開発機会を提供する。

    ②職業能力開発機会のより一層の提供に向けて、労働者や学生に対する職業能力開発施策に関する情報提供や啓発、事業主に対する助成制度の情報発信と周知徹底を行う。とりわけ、中小企業等における能力開発の促進を図るため、各種助成制度の周知・利用促進に加え、自社内での能力開発実施に向けたノウハウ提供や相談援助機能の強化を行う。

    ③障がい者、ひとり親家庭の親(母子家庭の母・父子家庭の父)、生活保護受給者などについて、居住地近隣での職業訓練機会を拡充するとともに、地方自治体・地域の教育訓練機関・公共職業安定所(ハローワーク)などが一体となり、就労に向けたきめ細かな支援を行う。

    ④公共職業訓練施設について、訓練指導員の増員や土日・夜間・随時開講や託児施設の設置など、離職者・在職者が必要な職業訓練を十分に受講できる、受講しやすくなる環境整備を行う。また、オンライン開講に関し、受講者の通信環境や実技訓練などに配慮した支援を行う。

    ⑤正規雇用の経験が少ない者を安定した雇用に結びつける雇用型訓練について、企業側にとって活用しやすくなるような誘導策も含めて制度を整備する。

 

9.労働災害の予防と再発防止対策を強化し、労災補償を拡充する。(「雇用・労働政策」11.より再掲)

  1. (1)ストレスチェック制度をはじめとする職場におけるメンタルヘルス対策を強化する。(「雇用・労働政策」11.(1)より再掲

    ①ストレスチェックについて、新たに義務化された労働者50人未満事業場を含む、すべての事業場で確実に実施されるよう、事業者や労働者などへの周知・指導を行うとともに、必要な支援を実施する。

    ②ストレスチェック制度の実施にあたり、労働者のプライバシー保護と不利益取り扱い防止に向け、監督・指導を強化する。

    ③中小企業を含め、高ストレス者とされた労働者に対する面接指導が適切に実施されるよう指導を強化する。併せて、中小企業の相談や面接指導を担う地域産業保健センターの体制を抜本的に強化する。

    ④労働者50人未満事業場におけるストレスチェックの実施結果の労働基準監督署への報告書提出を義務化する。

    ⑤ストレスチェック結果を踏まえた環境改善を推進するため、集団分析・職場環境改善の実施と安全衛生委員会への報告を義務化する。

    ⑥派遣労働者に対してもストレスチェックが確実に実施されるよう派遣元・派遣先に周知・指導を徹底する。

    ⑦メンタル不調の早期発見に加え、治療・職場復帰に至るまでの一連の対策を全体的に促進する措置の実施を検討する。

    ⑧メンタルヘルス教育の実施、産業医や地域の医療機関などとの連携を通じた適切な医療体制の確保、ハラスメント対策、職場復帰プログラムなどを行う事業場に対し、公的支援を行う。

  2. (2)労働災害を予防する施策の充実・強化をはかる。

    ①産業の特性や雇用・就業形態の多様性、第三次産業における労働災害の増加傾向などを踏まえ、個人事業者を含む業務上災害の実態調査・分析と対策を推進する。また、外国人労働者の労働災害の実態を踏まえ、原因分析をした上で、その低減に向けた対策を講じる。(「雇用・労働政策」11.(17)より再掲

    ②派遣労働者に対する派遣元・派遣先による効果的で厳格な安全衛生教育の実施、派遣元と派遣先の合同による安全衛生委員会の設置の推進、派遣労働者、有期・パート労働者などを含めた事業主の安全配慮義務の履行を確保する法整備を行う。加えて、派遣先責任の強化として、派遣先で派遣労働者の一般定期健康診断を代行実施する制度を法制化する。(「雇用・労働政策」11.(18)より再掲

    ③派遣・請負労働者の安全衛生体制を強化するため、「製造業における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針」を義務化するとともに、製造業以外の業種においても適切に適用する。(「雇用・労働政策」11.(19)より再掲

    ④安全委員会・衛生委員会の設置義務をすべての事業場に拡大する。衛生委員会の設置基準について、当面は現行の50人以上から30人以上に変更する。また、事業場内の協力会社(下請会社、派遣元など)の安全衛生担当者を含めた「合同安全衛生委員会」の創設義務化を検討する。(「雇用・労働政策」11.(20)より再掲

  3. (3)労災補償を拡充する。(「雇用・労働政策」11.(10)より再掲

    ①労災補償の認定について、労使も参画した「認定基準等審査会議(仮称)」を設置し、労災適用対象疾病の拡大や認定基準の見直しを行う。特に、長時間労働による労災認定の目安となる労働時間について、精神疾患の場合が脳・心臓疾患の場合より長くなっている認定基準の見直しを行う。

    ②労災補償の認定申請における申請者から使用者への立証責任の転換を含め、使用者の役割責任を強化する。

    ③労災隠しの摘発を強化する。

    ④労働保険審査制度について、審査手続きを迅速かつ確実に行う。

    ⑤労災保険制度について、政府管掌保険体制を維持する。

    ⑥労災保険特別加入制度について、対象職種の範囲拡大など、必要な見直しを行う。また、雇用類似の働き方をする者の労災保険の加入のあり方についても検討を行う。

 

10.外国人労働者が安心して働くことができるための環境を整備する。(「雇用・労働政策」12.より再掲)

  1. (1)外国人労働者の人権を尊重し、労働者保護を確保する。(「雇用・労働政策」12.(1)より一部再掲

    ①就労資格の有無にかかわらず、外国人労働者の労働基本権、日本人と同等の賃金・労働時間そのほかの労働条件や、安全衛生、労働保険の適用を確保する。

    ②外国人労働者に対して労働関係法令などをはじめとする権利に関する周知を徹底する。また、すべての労働基準監督署やハローワークなどにおいて、申請書類の多言語化なども含め、外国人労働者が母国語で相談や苦情を受け付けることができる体制を整備する。

 

11.政府は、最低賃金および家内労働工賃の引上げに向けた環境整備をはかるとともに、履行確保を強化する。(「雇用・労働政策」より全文再掲)

  1. (1)最低賃金について、生存権を確保し労働の対価としてふさわしいナショナルミニマム水準となるよう、引き上げに向けた環境整備をはかる。
  2. (2)最低賃金の履行確保のための監督にあたる要員の増強等監督体制の抜本的強化をはかるとともに、違反事業所の積極的な摘発や罰則適用の強化など、最低賃金制度の実効性を高める。
  3. (3)最低賃金の改定額をふまえ、発注済みの公契約の金額を見直す。
  4. (4)家内労働工賃の業種について、実態にあった見直しをはかる。また、現行家内労働工賃の審議の充実をはかるとともに、その水準の引き上げと改定サイクルの短縮を促進する。

 

12.困難に直面した人が抱える課題に対応したオーダーメイド型支援を可能にする社会的セーフティネットを確立する。(「社会保障制度の基盤に関する政策」2.より全文再掲)

  1. (1)第1層のセーフティネット

    ①雇用労働環境の変化などに対応するワークルールを整備・確立するとともに積極的雇用政策をさらに推進する。

    ②社会保険・労働保険の完全適用および給付改善をはかる。

    ③日本に居住するすべての者が高齢期における一定水準の所得保障を確保するため、所得比例年金が低額である者に対しては、最低保障年金を支給する。

  2. (2)第2層のセーフティネット

    ①生活困窮者自立支援制度における各任意事業の必須事業化と一体的実施をはかるとともに、事業の質の改善を行う。また、好事例の横展開を進めるなど、地域差の平準化をはかる。これらに対する財源を確保する。

    ②生活困窮者の相談・把握を「入口」として、早期の支援につなげるべく、アウトリーチ手法を中心に様々なチャネルを活用した包括的かつ持続的な相談支援体制を整備する。そのために、相談員や支援員の人材確保・養成を積極的に進めるとともに、これらの者の雇用の安定と処遇改善をはかる。

    ③「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて、求職者支援制度をはじめとする他の就労支援関連施策との整合性や連続性がはかられた生活困窮者就労準備支援事業を再整備し、本人の事情や状況に応じた息の長い本人伴走型の就労支援を強化する。

    ④生活困窮者の求職期間中および求職後の住居と生活を保障するための制度 (「住居・生活保障制度」)を創設する。

  3. (3)第3層のセーフティネット

    ①生活保護は権利であることを明確にし、「生活保障給付」制度によるセーフティネットの再整備を行う。

    a)「生活保障給付」は「健康で文化的な最低限度の生活」を営むために必要な保護基準とする。

    b)不適切な給付抑制を排除し、給付基準を法定化する。

    c)補足性の原則を前提に資産調査を適切に実施し、給付期間は定めない。

    d)本人への継続的な支援という観点を踏まえ、第2層と第3層とを連続的に機能させていく。

    ②幅広い事案に総合的に対応するため、ケースワーカー(生活保護担当職員)を増員し人員体制の充実をはかるとともに、これらに対する財源を確保する。

  4. (4)新たな横断的セーフティネットとして、生活困窮者自立支援制度(第2層)と生活保護制度(第3層)とも組み合わさる「恒常的な居住保障制度」(後掲「住宅セーフティネット」参照)と「医療・介護費補助制度」を整備する。
  5. (5)誰もが住居を確保し安心してくらせる社会の実現に向けて、以下のとおり対応する。

    ①自立の基盤となる質の伴った住宅セーフティネットを構築する。

    ア)人間の尊厳と生存の確保のため、「居住の権利」を基本的人権として位置づける。

    イ)公的賃貸住宅をリノベーションなどによる老朽化対策を講じたうえで活用する。また、居住ニーズと住宅ストックをマッチングさせ、住宅セーフティネット制度の住宅登録基準を参考に一定の基準を満たした全国にある空き家を積極的に活用する。

    ウ)誰もが住居を確保し、安心してくらせるよう、恒常的な居住保障制度を構築し、住宅確保要配慮者や離職によって住居や生活に困っている人のそれぞれのニーズを踏まえた家賃補助と現物サービスの組み合わせによる住居の確保を強力に推進する。

    ⅰ)生活困窮者自立支援制度における住宅確保給付金の支給要件の緩和や支給期間を延長する。

    ⅱ)生活困窮者、高齢者、子育て世帯、被災者など、住宅確保要配慮者が住宅セーフティネット制度をより活用できるように、 制度を積極的に周知するとともに居住支援協議会による支援強化などを行ったうえで、以下の制度を創設する。

    【居住保障Ⅰ】住宅確保要配慮者に対する住宅補助制度の創設

     住居を失った人や失うおそれのある人が一定基準以下の所得であるときに住居の現物支給ないし家賃補助などを行う。支給水準は、最低居住面積基準を勘案し、収入に応じて逓減するものとし、年収要件を設けたうえで期限は定めない。

    【居住保障Ⅱ】生活困窮者の求職期間中および求職後の居住・生活保障制度の創設

     求職後も生活基盤を確立することができるようになるまでの居住・生活保障として、長期継続性のある家賃補助制度を創設する。

    ②老人福祉施設、障がい者支援施設、母子家庭支援施設などの入所施設については、必要な介護や介助のための環境を勘案しつつ、住環境基本計画の最低居住面積水準を踏まえ、居住環境の向上をはかる。

13.生活困窮者自立支援制度の実施体制の整備を進める。(「社会保障制度の基盤に関する政策」3.より一部再掲)

  1. (1)地方自治体は、生活困窮者自立支援制度の確実な実施に向けて、総合的な実施体制を整備し、NPOや社会福祉法人、社会福祉協議会などの社会資源を活用するとともに、人材の確保と育成を進める。
  2. (2)国は、必須事業である「自立相談支援事業」「住居確保給付金」などの確実な実施を支援するとともに、好事例などの情報収集や横展開を進め、事業の質の改善を行う。「就労準備支援事業」など任意事業の地域差の平準化をはかる。また、事業委託にあたっては、事業の継続性や人材確保等を重視する。
  3. (3)国および地方自治体は、生活困窮者支援の質を確保するとともにヤングケアラーなど世帯の複合的課題へ対応するため、縦割りでない包括的なチームによる相談支援体制を全国的に構築し、アウトリーチによる早期からの「包括的」かつ「伴走型」の支援体制を確立・強化する。
  4. (4)国および地方自治体は、ホームレスに対して生活保護の給付を行い、併せて生活支援を充実する。

    ①新たな貧困層(ワーキングプア等)等若年層への相談支援体制の整備・拡充、就業機会の確保など、自立支援策を強化する。

 

14.すべての労働者に社会保険を適用し、働き方に中立的な制度を確立する。(「社会保障制度の基盤に関する政策」より再掲)

  1. (1)国は、すべての労働者が安心して働き、暮らし続けられるよう、雇用形態や企業規模の大小を問わず、社会保険の適用拡大を強力に推進する。(「社会保障制度の基盤に関する政策」5.(1)より一部再掲

    ①社会保険適用の意義や、改正法の趣旨、労働条件不利益変更の禁止について効果的な周知を行う。

    ②社会保険料負担を回避するため、事業者が労働時間等労働条件の引き下げや偽装請負への契約形態変更などにより、労働者を社会保険適用から外すことがないよう、指導・監督を徹底する。

    ③就業調整を防ぎ、被用者保険の適用拡大を円滑に進めるための支援策を講じる。また、労働者が誤解により就業調整を行うことを防ぐため、給付と負担について正確に理解することができるように周知徹底を行う。

    ④労働者の不利益となる、事業者による違法な適用逃れや該当する労働者の未適用などを防止するため、国税庁や地方自治体と連携し、徹底して社会保険適用を推進する。

    ⑤就業形態や企業規模にかかわらず、すべての労働者へ被用者保険の適用を行う。そのため、短時間労働者に関する企業規模要件・労働時間要件(週20時間以上)は撤廃する。また、現行の被扶養者の年収要件を現行130万円未満から給与所得控除の最低額未満に変更する。

 

15.政府は、所得再分配機能の強化や、社会保障制度などの構築に必要な安定財源の確保に向け、税制全体を抜本的に改革する。(「税制改革」2.より再掲)

  1. (1)政府は、所得税を再構築し、所得再分配機能と財源調達機能を高める。(「税制改革」2.(1)より一部再掲

    ①人的控除は、できるだけ社会保障給付や各種支援施策等に振り替える。残すものは所得控除から税額控除に変えることを基本とする。

    a)配偶者控除は、扶養税額控除に整理統合する。

  2. (2)政府は、消費税の逆進性対策として「給付付き税額控除」の仕組みを導入するとともに、持続可能で包摂的な社会保障制度・教育制度の構築に向けた財源として、将来的な消費税率のあり方を明確に示す。(「税制改革」2.(3)より一部再掲

    ①消費税納税額の圧縮を目的とした正規雇用から派遣・請負への置き換えを防止するため、派遣労働、請負労働などの対価にかかる「消費税の仕入税額控除」について、そのあり方を見直す。

 

16.政府は、企業の社会的責任に見合った税負担の実現をはかる。(「税制改革」3.より再掲)

  1. (1)中小企業の支援やディーセント・ワークを後押しする税制改革を行う。(「税制改革」2.(8)より一部再掲

    ①中小企業に対する人材投資促進税制を復活させる。

 

17.政府は、新しい公共と民主的で透明な公務員制度改革を進める。(「行政・司法制度政策」2.より再掲)

  1. (1)国の非常勤職員制度の抜本改革のため、労働組合が参加する検討の場を設置し、政府全体として解決に向けた取り組みを推進する。当面、国の非常勤職員の任用は、同一労働・同一賃金を基本とした明確な法規定を設け、勤務条件などについて、常勤職員に適用している法令、規則を適用する。(「行政・司法制度政策」2.(5)より再掲
  2. (2)国家公務員制度改革にあわせ、地方自治を支える基盤として地方公務員制度改革を行う。(「行政・司法制度政策」2.(9)より一部再掲

    ①臨時・非常勤職員の処遇改善に向けて、地方公務員法、地方自治法などについてパートタイム・有期雇用労働法の趣旨を踏まえた更なる改正を行う。加えて、これら処遇改善に向けて適宜必要な予算措置を行う。

 

18.働くことに関する知識を深め活用できるよう、労働教育をカリキュラムに盛り込むなど充実をはかる。(「教育政策」4.より再掲)

  1. (1)国・地方自治体は、幼児教育から高等教育までの教育課程や社会教育において、労働の尊厳や労働組合の意義を深く理解し行動するための教育を行い、勤労観・職業観を養う。(「教育政策」4.(1)より再掲

    ①労働組合、企業、NPOなど、各種団体と連携し、勤労観・職業観を養うための社会体験や労働体験の場を活用する。また、労働組合役員やOB・OGなど外部講師による出前講座や職場見学の機会など、働くことの意義や知識を学ぶ時間を設定する。

    a)労働組合などによる、労働教育に関する寄付講座や出前講座を支援する。

    b)職場見学や労働体験の内容を充実するとともに、インターンシップなどを通じて多様な労働の現場に触れ、働くことの意義について学ぶ機会を充実する。

    c)ものづくり教育や公共職業能力開発施設での工作教室、技能塾などを通じて、ものづくりの大切さについて学ぶ機会を充実する。

    d)教員が寄付講座や出前講座を受け入れるための時間を確保できるよう条件整備を行う。

    e)ワークルール検定の有用性を周知するとともに、受検する機会を拡充する。

  2. (2)国・地方自治体は、働く上で必要なワークルールや労働安全衛生、使用者の責任、雇用問題などに関する知識を深め活用できるよう、労働教育のカリキュラム化を推進する。(「教育政策」4.(1)より一部再掲

    ①働くことに関する知識を深め活用できるよう、働くことの意義や労働の尊厳を深く理解し、働くことによって社会や地域とかかわり成長していく力を育成する。

    a)ILO憲章、日本国憲法や労働関係法にもとづく働く者の権利・義務(ディーセント・ワーク、ワークルール)

    b)健康で働くための諸制度、労働安全の確保の大切さ、ワーク・ライフ・バランス

    c)労働組合の意義、労働組合が果たしている役割

    d)起業家・NPO・NGO・農業・漁業・林業などの様々な働き方

    ②地域の産業界などと連携し、教職員と企業で働く労働者の人材交流をすすめるとともに、学校から社会へ円滑に移行する進路保障システムを構築する。

    a)労働体験、インターンシップなどの推進のために、学校、地域、企業などの連携を強化するしくみや、インターンシップ期間の単位認定など、制度面の拡充を推進する。また、トライアル雇用を活用し、柔軟に就職に結び付けられるようにする。

    b)進路指導を充実させるため、地域の産業界や労働組合の人材を活用する。

 

19.政府は、新規産業・雇用を創出する経済構造改革を進めるとともに、グローバル成長の取り込みをはかり、産業政策と雇用政策を一体的に推進する。(「産業政策」1.より再掲)

  1. (1)雇用創出を新規産業の育成策の目標に据えるとともに、産業や事業の再生にあたっては、雇用の確保を第一義に政策を展開する。また、産業政策や関連する法律案の策定にあたっては、経済合理性の視点に加え、雇用安定や労使協議を前提とした良好な労使関係を活用できる内容とし、雇用保険財源によらない職業訓練の充実、企業における人的投資の支援、労働者が教育機関にアクセスしやすい環境の整備などセーフティネットを強化する。(「産業政策」1.(2)より再掲
  2. (2)今後すべての産業に起こり得る様々な変化への対応について検討するための、労使が参画する枠組みを早急に構築する。その際には、失業なき労働移動を可能にするとともに、格差の拡大が助長されることの無いよう、ディーセント・ワークを維持しながら全体の底上げをはかるなど「公正な移行」が実現するよう検討を進める。(「産業政策」1.(3)より再掲

 

20.政府は、わが国経済の根幹を担う人材の育成をはかる。(「産業政策」2.より再掲)

  1. (1)ものづくりの重要性を認識し、実感できる初等・中等・高等教育の実施、さらには、生涯にわたる技術・技能の修得・継承の促進・支援を通じ、国民の勤労観の確立をめざした、人材の育成をはかる。(「産業政策」2.(1)より一部再掲

    ①若年労働者のものづくり現場への就業意識を高めるため、小学校・中学校段階からのものづくり教育の履修時間の拡大と内容を充実させるとともに、職場体験学習の機会を増やす。また、高校・高専・短大・大学では、インターンシップを単位として認める制度を普及させると同時に、産業界の技術者等の外部講師を積極的に活用するなど、実践カリキュラムを盛り込む。勤労観の確立につながるよう努める。

 

21.政府は、中小企業が自立できる基盤を確立し、独自の高度な技術と経営基盤の確立に向けた支援を行う。(「産業政策」3.より再掲)

  1. (1)中小企業者による新卒者の採用を支援するため、ハローワークや、行政の外郭諸団体が積極的に採用会を開催する。さらには、業界団体・協同組合等が共同採用会を開催する団体を支援する。(「産業政策」3.(9)より再掲

 

22.就労を阻害せず、働き方などに中立的な社会保険制度を構築するとともに、すべての人が安心してくらし続けられるよう、基礎年金の基盤強化や所得比例年金・最低保障年金の創設など抜本改革を進め、真の皆年金を実現する。(「年金政策」1.より再掲)

  1. (1)第一段階の改革(「年金政策」1.(1)より一部再掲

    ①公的年金制度の充実と生活手当(仮称)の導入

    a)第3号被保険者制度を将来的に廃止する。廃止に向けて、第3号被保険者の生活実態の分析も含めた検討を行う会議体を早期に設置するとともに、以下のとおり対応する。
    ア)まず、第3号被保険者を縮小するため、新たに第3号被保険者になることができない制度とする。次に、10年程度の期間を設けて、既第3号被保険者については以下の要件を満たさない場合、第1号被保険者となる。その際、世帯単位で見て低所得者への年金保険料の減免措置を設ける。 ・最初の5年程度の期間で、第3号被保険者の配偶者に「年収850万円未満」または「所得が655万5000円未満」との所得制限を設ける。 ・次の5年程度の期間で、前述の年収・所得要件に加え、第3号被保険者本人に、子ども(18歳の誕生日の属する年度末まで、または20歳未満で1級または2級の障害の状態にある婚姻していない子どもに限る)を養育する親との要件を設ける。 イ)以下の考え方にもとづく改正とともに、上記を経ても第3号被保険者である人については第1号被保険者に区分することで、第3号被保険者制度は廃止となる。 ・過去に第3号被保険者期間があった受給者の基礎年金は減額しない。 ・廃止時点で第3号被保険者である人、受給者ではないが過去に第3号被保険者であった期間がある人について、第3号被保険者としての加入期間は、保険料納付済期間として将来の基礎年金は減額しない。 ・公的年金制度における次世代育成支援の観点で、育児期間中の社会保険料免除措置を拡大(例:「子が小学校入学までの期間」など)する。 ・様々な事情により働くことができず無年金となる人、受給資格期間を満たしたとしても低年金の人に対しては、生活手当(仮称)などの加算で対応する。

    ②すべての労働者への被用者保険の適用

    a)就業形態や企業規模にかかわらず、すべての労働者の被用者保険への適用を行うため、以下のとおり対応する。
    ア)短時間労働者に関する労働時間要件(週20時間以上)を撤廃する。 イ)当面期限を定めず適用除外とされている常時5人以上の非適用業種の既存個人事業所および、常時5人未満の個人事業所も対象とする。 ウ)企業規模要件は速やかに撤廃し、それまでの間は任意適用を促進する。 エ)学生除外要件については、学生は学業が本業であることを踏まえ、将来的な検討課題とする。 オ)被扶養者の年収要件も現行の130万円未満から給与所得控除の最低額未満とする。(「社会保障制度の基盤に関する政策」参照) カ)「曖昧な雇用」で働く人で労働者性が認められる場合は、確実に被用者保険を適用するとともに、社会実態にあわせて労働者概念の見直しを行い、被用者保険に適用される範囲を拡大する。 キ)複数就業者については単一事業所で満たさない場合に適用対象外となっている現行制度を見直し、単一事業所で満たさなくても複数事業所で満たす場合には被用者保険を適用する。

23.受給権保護の整った、将来にわたって安定的な給付を約束する企業年金制度を構築し、雇用形態や企業規模に関係なくすべての労働者が制度適用されるよう普及をはかる。(「年金政策」4.より再掲)

  1. (1)国は、企業年金が公的年金の補完機能を確実に果たすことができるよう、中小・零細企業の労働者や短時間・有期等労働者に対する制度の普及促進を抜本的に強化する。(「年金政策」4.(2)より一部再掲

    ①短時間・有期等労働者に対する企業年金制度の普及に向け、非正規労働者に対するモデル年金規約を整備し周知する。

 

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