3.安心できる社会保障制度の確立(被爆者援護政策)

被爆者援護政策<背景と考え方>

 原爆症認定訴訟の終結に向け、2010年4月に「原爆症認定集団訴訟の原告に係る問題の解決のための基金に対する補助に関する法律(原爆症救済法)」が施行された。これを受け、広島・長崎における集団訴訟は終結したが、国内すべての訴訟終結にはいまだ至っていない。
 一方、被爆二・三世の健康不安等に対する課題については、「被爆二世臨床縦断調査」が現在実施されており、厚生労働省は数年内に蓄積した知見の解析を深め、今後の被害者援護施策の強化に向けて活用するとしている。
 こうした動向を注視しつつ、科学的な根拠にもとづき運動を強化していく必要がある。

1.すべての被爆者を対象に、国家補償に基づく被爆者支援を実現する。

  1. (1)国は被爆者の実情に合わせた原爆症認定基準の見直しを行う。

    ①2013年12月に改定された新・原爆症認定方針にしたがい、原爆症認定審査が滞留なく円滑に実施されるよう、審査体制の拡充をはかる。

    ②2010年から施行されている「原爆症認定集団訴訟の原告に係る問題の解決のための基金に対する補助に関する法律(原爆症救済法)」について、すべての被爆者の救済に向けた実効性ある運用をはかる。

  2. (2)国は被爆二世・三世への援護の推進をはかる。

    ①放射線影響研究所で行われている「被爆二世臨床縦断調査」を今後も継続的に実施し、内容の充実をはかり、被爆二世の援護策に反映していく。また、被爆三世についての健康調査を含めた援護策を検討する。

    ②被爆二世健康診断については、2016年度に「多発性骨髄腫検診」が加えられたが、すべてのガン検診についても対象とする。

    ③「被爆二世臨床横断調査」結果について、科学的な根拠が明らかになった場合には、必要な援護策(被爆者援護法などの改正)を講じる。

  3. (3)国は在外被爆者の援護の充実をはかる。

    ①改正被爆者援護法により在外公館での被爆者手帳の申請・交付および健康管理手当など各種手当を確実に実施する。また、在外被爆者の実態把握に努める。

    ②在外被爆二世に対する「被爆二世検診」については、居住国の医療機関で受診できる措置を講じる。

  4. (4)国は「被爆体験者」に関する援護施策の見直しを行う。

    ①「長崎被爆体験者支援事業」(厚労省委託:被爆体験者精神影響等調査研究事業)における、被爆体験者医療受給者証の居住条件の撤廃を行う。また、被爆体験者についても、被爆者と選別することなく被爆者同様の援護施策を講じる。

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