東日本大震災から15年が経過したが、風評被害は、福島県産農作物等を中心に国内外で根強く残っている。
東京都中央卸売市場の統計で福島県産の桃の平均単価を見ると、福島第一原子力発電所の事故後に大きく下落した。
その後、全国平均との差は縮小してきたものの、2024年度でもまだ11.6%の差があり、震災前の水準には戻っていない(図1、2)。
加えて、近隣の国と地域はALPS処理水の海洋放出を受けて、日本の食品の輸入規制を強化・継続している。
こうした風評の背景には、放射能検査で基準値を超えた食品は出荷されない体制が整えられていることや、処理水はWHOの飲料水基準を満たすまで処理されるといった事実がよく知られていないという問題がある。
政府は、食品の安全証明や販路拡大の支援を徹底するとともに、食品の安全性や処理水に関する科学的で正確な情報の発信を強化する必要がある。
また、避難者は今なお2.6万人にのぼり(2026年2月現在、復興庁調べ)、精神的負担を抱える人の心のケアが必要である。
福島県の県民健康調査によると、気分障害や不安障害のリスクが高い人の割合は5.4%と、全国平均の3%を上回っており、なかでも16~39歳は8.5%と特に高い(図3)。
福島県で心のケアにあたる専門家は、「子どもの頃に被災した若年層は、避難のために転居を繰り返すなどして、様々な精神的負担を抱えて成長しており、現在でもケアを必要とする人が多い」と指摘する。
政府と自治体は、若年層を中心に、被災のために心のケアを必要とする人が、今後も中長期にわたって必要な支援を受けられるよう、心のケアセンターや各自治体の心のケア事業の予算を確保するとともに、体制の維持・拡充をはかる必要がある。
