雇用形態や勤務先の規模・業種、労働時間、収入、さらには配偶者の働き方などによって被用者保険の適用や第3号被保険者に該当するかが決まる現行制度は、中立的な社会保険制度とはいえない。就労を阻害せず働き方などに中立的な社会保険制度を構築するためには、全被用者への被用者保険の完全適用と第3号被保険者制度の廃止を実現する必要がある。
2025年6月に成立した年金制度改正法(以下、「改正法」)では、短時間労働者への被用者保険の適用拡大がさらに進められることになった(図1)。企業規模要件は対象を段階的に拡大したうえで2035年10月に撤廃、賃金要件は2026年10月に撤廃予定である。一方で、労働時間要件は引き続き残存するため、制度の誤認など現場で混乱が生じないよう丁寧に周知啓発などを実行すべきである。
また、改正法において第3号被保険者制度の見直しは行われなかったものの、附則の検討規定では、国民的な議論の必要性が言及されるとともに、第3号被保険者の実情に関する調査研究を行うことが盛り込まれた。
第3号被保険者は約641万人存在する(図2)。制度廃止に向けては、当事者の生活実態や就労状況などの事情を丁寧に把握し、受給権に留意したうえで将来的かつ段階的に改正することが必要である。さらに、本人の疾病や育児・介護などで働きたくても働けない人などが存在しており、仕事と治療の両立支援や子ども・子育て支援の充実、介護サービスの充実といった第3号被保険者にとどまらない支援策も必要である。
こうしたことを踏まえつつ、政府は調査の実施および会議体の設置を早期に行い、制度廃止に向けた具体的な検討を進めるべきである。
