厚生労働省の推計によると、2040年には約272万人の介護職員が必要とされている。介護を担う人材の不足が大きな課題となっている。
その要因の一つに賃金水準の低さがある。介護分野の職員の平均賃金は、全産業平均(38.6万円)と比べ8.3万円も低い水準にある。その上、毎年の賃金改定額も全産業と比べて低い状況である。2025年の賃金改定額は全産業平均13,601円に対し、医療・福祉では5,589円であった。これは2024年からも下がっている(図1)。この間、処遇改善の取り組みが国を挙げて進められているものの、賃金格差はますます広がっている状況にある。
介護従事者の平均年齢は、全体では48.4歳だが、訪問介護員(50.5歳)やケアマネジャー(53.6歳)は高齢化が進んでいる。今後の介護ニーズに対応し、地域で必要なサービスを適切に受けられる提供体制を維持していくためには、介護分野の人材確保と離職防止が急務であり、20代、30代が就職し、働き続けたいと思える職場環境を整えることが不可欠である。
2026年度介護報酬改定においては、広く介護従事者を対象に月1万円、介護職員には最大月1.9万円(定期昇給0.2万円込み)の賃上げを実現する措置が講じられたが、決して十分とは言えず、さらなる処遇改善施策の実施とそのための財源の確保が必要である。
労働者の業務負担の軽減も課題である。ICT機器等の導入効果については、「昼間の業務負担軽減」に「効果がある・やや効果がある」と回答した事業所が49.4%ある一方、「特に変化はない・かえってマイナス・わからない」との回答も38.2%であった(図2)。人員を削減することなく、業務負担の軽減とケアの質の向上の観点から、ICTやAIなどの新技術の活用促進を引き続き支援していくことが重要である。
