ひとり親世帯やヤングケアラー、高齢者などが抱える多様で複合的な課題を適切に受け止め、解決に向けた対応をはかるためには、生活困窮者自立支援制度をはじめ、高齢者や子ども・子育て家庭などに関する既存の福祉分野の制度を基盤に、地域における包括的かつ重層的な支援体制を構築する必要がある。
2025年12月に取りまとめられた「社会保障審議会福祉部会報告書」では、頼れる身寄りがいない高齢者に対する新たな事業による支援が盛り込まれた。具体的には、福祉サービス利用援助事業を拡充・発展させ、日常生活支援、入院入所等手続支援、死後事務支援などを提供する新たな第二種社会福祉事業を社会福祉法に位置づける内容であり、第221回国会(特別会)での法改正が見込まれる(図1)。こうした支援の枠組みは拡充される方向にある一方で、支援を担う現場では人材確保が困難な状況が続いている。安定的に人材を確保・定着させるためには、処遇改善策の実行と、それを支える財源の確保が不可欠である。
また、安心して子育てできるようにするためには、子どもや子育て世帯が、「何かあったときは頼れる制度がある」と感じられる環境整備が重要である。生活困窮者自立支援制度による支援とあわせて、子育て短期支援事業や子育て世帯訪問支援事業など家庭支援事業を実施し、重層的に子どもや子育て世帯を支える必要がある。
さらに、課題を抱えた世帯が自立に向け動き出すためには、安心して生活できる住居を確保する必要がある。そのため、国による住居費の支援など、恒常的な居住保障の仕組みを検討すべきである。
同時に、働いている家族等介護者(ケアラー)が離職を強いられることなく、医療・介護・福祉などのサービスを切れ目なく受けられるよう支援も必要である。

