2023年6月に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」が施行されたが、法が定めた「基本計画」および「指針」は未だ策定されていない。まずは、これらを早急に策定し、国民の理解増進に関する施策を実行するとともに、施行後3年を目途とした見直しに際し、性的指向・性自認(Sexual Orientation and Gender Identity:SOGI)の多様性に関する差別を禁止する法律を制定すべきである。
厚生労働省の「職場におけるダイバーシティ調査推進事業報告書」(2025年3月)によると、職場で不快な思いをしたことや働きづらくなったことがきっかけで、「心身に不調が生じ、通院したり仕事を長期間休んだことがある」との回答が「労働者一般」では13.6%、「性的マイノリティ全体」で24.8%と高くなっている(図1)。また、今の職場で社内の人からハラスメントを受けた経験について、「労働者一般」に比べて、何らかのハラスメントを受けた経験の割合が「性的マイノリティ全体」において、全体的に高くなっているなど、対策が必要である(図2)。
一方、2025年6月に労働施策推進法のパワハラ防止指針の改正により、望まぬ暴露であるアウティングに加え、いわゆるカミングアウトの強要又は禁止についても強化されることとなった。さらに、顧客から労働者へのSOGIハラはカスハラとして、また求職者等に対するSOGIハラもそれぞれ雇用管理上の措置(防止措置)の対象となるなど、対策の強化が進み始めている。
引き続き、性的指向・性自認に関するハラスメントはもちろん、アウティングやカミングアウトはパワハラに該当することを広く周知するなど、性的指向・性自認の多様性に関する差別・偏見をなくし、すべての人の対等・平等、人権が尊重される社会の実現に向けて取り組むべきである。



