7.公正なグローバル化を通じた持続可能な社会の実現|国際政策

2-26-0.国際政策<背景と考え方>

  1. (1)平和で安定した国際社会は、世界の労働者が安心・安全な生活を維持するための前提条件である。しかし、地域紛争、国境を越えたテロ、宗教対立、領土問題、民族紛争などは絶えることなく、一般の労働者や市民が犠牲となり続けている。日本は、国連を中心とする国際協調主義に立ち、アジア・太平洋諸国との連携にもとづく地域の安定および世界平和の実現に向けて積極的な役割を果たさなければならない。特に核兵器廃絶に向けた核軍縮・不拡散は、世界平和を希求するうえでも、また被爆国民の立場からも重要課題であり、その必要性を世界に発信していくことはわが国の使命でもある。
     2017年7月7日、国連で採択された「核兵器禁止条約」は、2020年10月24日に発効要件である50ヵ国の批准に達し、2021年1月22日に発効した。しかし、核保有国や核の傘の下にある国の多くは未批准となっている。同条約を核兵器廃絶の推進力としていくためには、署名・批准国の一層の拡大をはかり、核兵器廃絶に対する各国の対立を解消していくことが肝要である。いまだ世界には多くの核弾頭が存在している中、核軍縮の促進と核不拡散に向けた国際的な枠組みである「核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議」の果たす役割は極めて大きい。
  2. (2)世界情勢は、長期化するロシアのウクライナ軍事侵略など、大国の力による国際秩序の変更、エネルギー危機や物価高、米国の関税政策や自国第一主義などにより不確実性を増している。また、中東における深刻な人道上の問題、ミャンマー軍当局による市民への弾圧・人権侵害、各国での民主主義の後退と人権蹂躙、食糧・保健危機、政治の右傾化などが深刻化している。
  3. (3)日EU経済連携協定(EPA)や日英包括的経済連携協定(EPA)、TPP11協定、インド太平洋経済枠組み(IPEF)では、労働に関わる項目やILO中核的労働基準の尊重・履行に関する規定が盛り込まれている。米国を中心に自国第一主義・保護主義の台頭が懸念されるが、今後も公正で持続可能な成長を秩序ある市場経済のもとで追求するために、労働者の権利保護や環境への配慮など社会的側面を考慮した国際貿易ルールを活用する必要がある。また、建設的な労使関係にもとづいた企業の発展が労使双方に利益をもたらすこと、万一労使紛争が長期化すれば労使双方が甚大な損害を被りかねないことから、多国籍企業において建設的な労使関係を構築し、労使で対話を行うことで紛争を回避することが必要である。そのため、「OECD多国籍企業行動指針」やILO「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の周知・遵守を徹底するとともに、「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020-2025)を着実に実施することは、政労使がそれぞれに、また連携して取り組むべき重要な課題である。
  4. (4)国際社会は戦争・紛争や気候変動、多国間貿易体制の揺らぎなどの複合的危機に直面し、2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)の達成は困難視されている。このような状況を打破するためには、日本を含めた国際社会全体が、2030年までにSDGs達成をめざすという共通目標を堅持し、それに向けた努力を加速していく必要がある。「SDGs実施指針改定版」において、「労働組合は、社会対話の担い手として」「ディーセント・ワークの実現、『ビジネスと人権』の視点に立ったサプライチェーン全体における人権尊重、持続可能な経済社会の構築に重要な貢献を果たすことが期待される」と位置づけられている。連合は「SDGs円卓会議」の構成員として、「SDGs実施指針」改定や自発的国家レビュー(VNR)への意見反映など、他のステークホルダーとともに、SDGs達成に向けた政府の取り組みに参画している。日本政府は、国際的な役割と責任を果たすため、SDGsの達成に向けた取り組みを加速させるとともに、ポストSDGsを見据えた国際的な議論を主導すべく、引き続き労働組合をはじめとする多様なステークホルダーと連携していくことが求められる。
  5. (5)グローバル化の進展に伴い、国際的な人の移動が増加する中で、テロ、紛争、暴動の脅威が広がり、さらには自然災害や感染症などのリスクも増している。在外邦人の安全確保に向けた情報収集・危機管理体制の整備・強化をするため、在外公館の整備・拡充が求められる。また、増加する訪日外国人や日本在住外国人の安全対策のため必要な対策を講ずることも必要である。

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