2024年度重点政策|7 脱炭素社会実現に向けた「公正な移行」の具体化と予算措置

7 脱炭素社会実現に向けた「公正な移行」の具体化と予算措置

GX実現と「公正な移行」の具体化

 政府は、2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、エネルギー供給にあたり、安全性を大前提に、安定供給、経済効率性、環境適合を同時に実現する「S+3E」の確保を念頭に、5つの政策イニシアティブ(グリーンエネルギー戦略)と「公正な移行」を柱の一つとして位置づける「GX実現に向けた基本方針」を2023年2月閣議決定した(図1)。これにより、国が「円滑な労働移動」に向けて支援を行うことが明確化され、2023年5月に成立したGX推進法でも、連合組織内議員などの尽力により「公正な移行」を明記する法案修正が実現した。
 今後、GXにおいて「公正な移行」を具現化するためには、省庁横断的な体制のもとで課題を深掘りするとともに、政労使など関係当事者が加わる社会対話を実施し、「グリーンでディーセントな雇用創出」や「失業なき労働移動」を担保するための重層的なセーフティネットの構築、産業移転後の地域経済への対応などについて、複数のシナリオにもとづくロードマップの作成と必要な予算措置が求められる(図2)。
 さらに、GXと地域の脱炭素化に向けて、政府は「地域循環共生圏」の形成を掲げるが、連合はこれを持続可能な「働くことを軸とする安心社会」とすることが重要と考える(図3)。そのためには、地域レベルでも社会対話を実施し、サプライチェーン任せではなく、国による地域雇用への強力な目配りと中小企業に対する移行支援を検討する必要がある。
 今後の具体的方策の検討や実施など脱炭素の動きに応じて、労働組合も重要なステークホルダーの一員として、排出削減への貢献はもとより対話や意思決定に参画していくことが求められる。

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