2024年度重点政策|4 雇用の安定と公正労働条件の確保

4 雇用の安定と公正労働条件の確保

長時間労働の是正に向けた取り組みの徹底と労働者の健康を守る法の堅持を

2024年4月から運輸業や建設業で働く者、勤務医にも時間外労働の上限規制の適用が開始された。
運輸業や建設業では長時間労働が常態化しており、運輸業や建設業の年間総実労働時間は全産業平均と比較すると約2割長くなっている(図1)。また、勤務医では、いわゆる過労死ライン(年960時間)を超える長時間労働者の割合が全体の2割強に達しており、過労死ラインの2倍に及ぶ年1,920時間超の割合も4%となっている(図2)。
これらの業種では長時間・過重労働の常態化などにより、過労死・過労自殺事案も多く発生しており、脳・心臓疾患および精神障害のいずれにおいても労災請求件数が上位を占める状況が続いている(図3、4)。
企業規模や業種にかかわらず、過労死等をなくし、誰もが安心して働き続けることができる社会の実現には、長時間労働を是正していくことが極めて重要である。
運輸業や建設業で働く者、勤務医においても、まずは新たな基準にもとづく時間外労働の上限規制の遵守徹底を進めるべきだ。その際には、労働組合が中心となり、働き方の見直しや労働時間短縮に向けた取り組みをより一層推進していく必要がある。加えて、運輸業や建設業、勤務医においては、荷主や注文者などを含めた商慣習や取引慣行の是正とともに、消費者や患者に対する理解と協力を進める取り組みが不可欠である。
また、2019年4月に働き方改革関連法が施行されてから5年が経過したことを踏まえ、厚生労働省の研究会において附則の検討規定にもとづく見直しが開始された。まずは時間外労働の上限規制の効果検証をはじめ、労働者保護の観点から施行状況の把握と検証を丁寧に進めることが重要である。そのうえで、労働者の命と健康を守る強行法規としての労働基準法を堅持しながら、実効性確保の観点から必要な措置などの検討を進めるべきである。

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