5.くらしの安心・安全の構築|環境政策

2-17-0.環境政策<背景と考え方>

  1. (1)気候変動対策として温室効果ガスの排出量を削減する「緩和(注1)」について、政府は、地球温暖化対策計画にもとづき、排出量を2013年度比で、2030年に46%削減、2035年に60%削減、2040年に73%削減させ、2050年までに「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出・吸収量の差し引きゼロ)」を実現するとしている。そのための方針である「GX実現に向けた基本方針」と今後10年の方向性(ロードマップ)にもとづき、2040年を見据えた中長期的な国家戦略である「GX2040ビジョン」が2025年2月に閣議決定され、同年5月には改正「GX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)」が第217通常国会で成立した。これらを根拠として、排出量取引制度(GX-ETS)が本格稼働するとともに、各種取り組みが加速している。また、すでに一部で顕著な影響が見られる気温上昇への対応および将来の気候変動リスクに対応する「適応(注2)」について、政府は、気候変動による被害の防止・軽減、国民の生活の安定、社会・経済の健全な発展、自然環境の保全および国土の強靱化をはかり、安全・安心で持続可能な社会を構築することを目指すため、「気候変動適応計画」を2023年10月に閣議決定した。これにより、国、地方自治体、事業者、国民が連携・協力して適応策を推進することが定められている。
  2. (2)気候変動に対応し、わが国の「2050年カーボンニュートラル」を実現するためには、緩和策であるGX(グリーントランスフォーメーション)と同時に、適応策も進める必要がある。これら取り組みを進めるうえでは、雇用や地域への負の影響を最小化する必要があり、そのためには産業・企業、地域、労働者が一体となり「公正な移行」を実現することが重要である。それぞれの主体が「公正な移行」を実現するためには、予見可能性を高め、政労使を含む関係当事者が「社会対話」を実施し、合意形成をはかりながら進めることが求められる。そのうえで、必要な予算措置を講ずるとともに、産業や地域の課題を深掘りするために、省庁横断的な推進体制を構築する必要がある。
  3. (3)日本政府が地域脱炭素の推進においても提唱する「地域循環共生圏」の構築は、いずれもSDGsの考え方やゴールが具現化され、「持続可能性」と「包摂」を基底とした「働くことを軸とする安心社会」が実現されることと同義としなければならない。実現に向けて、連合は労働組合も含む幅広い社会対話が持たれ、参加が保障されるよう取り組みを進める。
  4. (4)「水循環基本法」では、「国民共有の貴重な財産」である地表水及び地下水について、省庁横断的に水に関する施策を省庁横断的に実施し、水循環を流域で総合的に管理することを求めている。そのため、同法に基づいて策定された「水循環基本計画」に掲げられた各施策の進捗の検証の中で、関連する個別法の改正や新たな法律の制定の検討が必要となる。
  5. (5)社会全体の資源効率性を高めつつ、廃棄物・リサイクル産業を健全に育成し、わが国に適した循環型社会を構築する必要がある。そのため、廃棄物の適正な処理をすすめるとともに、プラスチックの海洋流出による環境汚染への対応、海外における廃棄物不適正処理による環境汚染防止に向けた、国際ルールの整備と国内におけるさらなる対策強化や、途上国に対する技術支援等を推進することが求められている。
  6. (6)現代社会は、数多くの化学物質により支えられているが、その危険性・有害性評価に関する情報は不足しており、情報収集とリスク評価・リスク管理をさらに進める必要がある。また、幅広いリスク・コミュニケーションとともに、低濃度長期ばく露、複合ばく露、ナノ物質などの課題に対する取り組みも重要である。
  1. (注1)緩和(策)~温室効果ガスの排出の抑制や、森林等の吸収作用を保全および強化することで、地球温暖化の防止をはかるための施策
  2. (注2)適応(策)~地球温暖化がもたらす現在および将来の気候変動の影響に対処する施策

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