3.安心できる社会保障制度の確立|年金政策

2-12-2.公的年金に対する国民の安心と信頼を確保するため、公的年金の機能を強化するとともに、公平・公正な制度を確立する。

  1. (1)国は、財政検証の枠組みを以下のとおり見直す。

    ①年金財政の健全性を明らかにし、国民の信頼を確保するため、財政検証を毎年行い、その結果に基づき制度改正の検討を行う。その際、給付の十分性および所得再分配効果についてもあわせて検証を行う。

    ②財政検証の経済前提(物価上昇率、賃金上昇率、名目運用利回り)については、全要素生産性(TFP)上昇率をはじめとする前提条件について高齢化等の影響に十分留意しつつ、過去の実勢を踏まえて設定する。

    ③財政検証においては、政治的な影響を排除する。また、客観的に検証する場とともに、社会保障審議会年金部会に加えて拠出者が参画して議論する場を設ける。

  2. (2)国は、年金制度の抜本改革までの間、以下の措置を行う。

    ①将来の給付水準の確保を図るため、厚生年金について、デフレ下での年金受給者等への影響を検証した上で、マクロ経済スライドの名目下限措置を撤廃する方向で検討を行う。基礎年金は老後の生活の基礎的部分を賄うものとされていることから、財源を確保しマクロ経済スライドの対象から外す。また、障害厚生年金は障がい者の生活を支える重要な基盤であるため、調整率の設定は、障がい者の基礎率にもとづく方法に改める。

    ②基礎年金の給付水準の底上げにあたっては、基礎年金拠出金の算定方法について、現行の被保険者数の人数割に加え厚生年金積立金も勘案して計算する仕組みを導入することなく、被用者保険のさらなる適用拡大や保険料拠出期間の延長などにより底上げする

    ③支給開始年齢のさらなる引き上げは、低年金者の受給機会が損なわれるおそれがあるため、行わない。また、繰上げ受給可能な年齢については60歳を当面維持する。

    ④現行の40年納付に対する給付水準を基準に、保険料拠出期間を延長し、延長した年数に応じて給付額を増額する仕組みとする。そのため、延長した年数に応じて基礎年金拠出金算定対象者の年齢上限の見直しを検討する。

    ⑤年金受給資格期間が10年に短縮されたことを踏まえて、年金は長く保険料を納めれば受給額が増える仕組みであること、任意加入、保険料後納制度、合算対象期間(カラ期間)を利用して10年を満たす場合もあること等について、国民に対し効果的に周知する。

    ⑥標準報酬月額の範囲については、被用者保険内の所得再分配を強化するとともに、被用者保険の適用拡大を進めるため、最低賃金や健康保険の基準を念頭に下限を引き下げる。

    ⑦高所得者に対する年金課税については、総収入(賃金、事業所得、家賃、配当・利子等)にもとづくあり方を検討する。

    ⑧在職老齢年金について、就労に対する影響を検証した上で、以下のとおり見直すことも含めてあり方を検討する。

    a)在職老齢年金非適用者(社会保険の適用要件を満たさない者、賃金以外の収入のある者)との公平性を確保するため、現行の在職老齢年金制度を廃止し、総収入(賃金、高年齢雇用継続給付金、事業所得、家賃、配当・利子等)をベースに、年金額を調整する制度に抜本的に改める。

    b)在職老齢年金の支給停止額の算定に用いる総報酬月額相当額について、受給時における実際の賃金を反映する仕組みに改める。

    c)働きながら年金を受給する者(65歳以降で総収入が一定額以上)の年金に対する一定の支給停止を行うが、支給停止となった部分については、部分繰り下げの扱いとし、繰り下げ額について一定の増額率を乗じたものを退職時から受給できる仕組みを検討する。

    ⑨第1号被保険者の育児期間における保険料免除措置の財源は、国民年金財政で負担することを基本としつつ、公平なあり方を検討する。

    ⑩遺族厚生年金について、以下のとおり見直す。

    a)当面、遺族年金の支え手である被保険者の年収とのバランスをはかる観点から、年収850万円未満の遺族に支給される現行制度について、遺族となった者の年収に応じて、年収600万円程度から段階的に年金額を調整する仕組みに改める。また、適用認定については、毎年の年収をもとに認定する仕組みに改める。

    b)遺族厚生年金の支給要件の男女差については、将来の遺族年金のあり方、方向性と整合性をはかりつつ、格差解消に向けて見直す。

    ⑪障害年金について、以下のとおり見直す。

    a)障害基礎年金の支給を、障害厚生年金に合わせ3級障がい者からとし、給付水準を引き上げる。

    b)障害認定審査の客観性と透明性を高め、確実に年金を受給できるようにする。また、障害認定に関する地域差を解消するにあたり、これまでの受給者に不利益を極力生じさせないように対策を講じる。(「障がい者政策」より再掲

    c)「特別障害給付金」の対象者の範囲を拡大することにより、20歳前の傷病者など無年金となっている障がい者の解消をはかる。

    ⑫失業中も障害年金や遺族年金等の受給権に結びつく納付要件を確保するため、厚生年金への「任意継続加入制度」を創設する。

    a)継続加入期間の保険料負担は2年間を限度に猶予して、再就職後に追加分納する。

    b)追納の保険料は、労使分、本人分(給付算定は半額)、免除制度(障害・遺族年金の対象)との3選択制とする。

    c)追納期間は猶予期間の2倍(4年)以内とする。

    ⑬厚生年金の労使負担割合については、基礎年金の国庫負担割合の引き上げに合わせ見直す。

    ⑭国会の超党派による議論の場で、新たな税制改革と一体となった年金制度改革の合意形成をはかるとともに、速やかな検討を行う。

  3. (3)国は、年金課税の見直しに伴う税収増について年金財政に全額繰り入れる。
  4. (4)国は、独立行政法人や民間委託を含む年金事務費については全額国庫負担を基本とし、内訳などをねんきん定期便に記載して被保険者に対し公表する。
  5. (5)国は、教育機関と連携し、公的年金制度の特徴である皆年金、社会保険強制加入の意義、賦課方式など、年金教育・広報の充実に取り組む。
  6. (6)国は、人材育成のための各種研修や専門人材の派遣などの年金制度の導入に向けた国際協力を積極的に行うとともに、社会保障協定(適用調整、保険期間の通算など)の締結を進める。また、現行の外国人への脱退一時金について、在日後帰国する外国人に制度の周知を徹底するとともに、脱退一時金の要件及び支給率を改善する。

 

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