3.安心できる社会保障制度の確立|年金政策

2-12-0.年金政策<背景と考え方>

  1. (1)年金は高齢者世帯収入の約6割を占め、約4割が公的年金収入だけで生活しており、老後の生活保障の柱である。他方、高齢化が加速度的に進み、給付と負担のバランスを確保することが大きな課題となっており、拠出者である労使の参画のもと、財政の持続可能性と給付の十分性を両立させることが求められている。
  2. (2)2024年財政検証では、労働参加の進展などにより、全体的には将来の給付水準(所得代替率)は上昇したものの、基礎年金の給付水準は2024年度の36.2%から2057年度には25.5%まで低下する見通しであり(過去30年投影ケース)、楽観的に受け止めるべきではない。基礎年金の給付水準の低下は、公的年金制度が持つ所得再分配機能や防貧機能を弱めるため、底上げが急務である。2025年年金制度改正では、2029年の財政検証において基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合に必要な法制上の措置を講じることとされた。国会審議においては、基礎年金拠出金の算定方法の変更(現行の被保険者数の人数割に加え厚生年金積立金も勘案して計算)が前提とされており、今後の検討を注視する必要がある。
  3. (3)被用者保険の適用拡大が進められているものの、労働時間要件(週20時間)や個人事業所に関わる雇用人数要件などが残存しており、いまだ多くの労働者が適用外とされている。また、配偶者の働き方などにより適用が決まる第3号被保険者制度についても、廃止に向けた道筋は示されておらず、就労を阻害せず、働き方などに中立的な社会保険制度の構築が求められる。
  4. (4)年金積立金の運用について、基本ポートフォリオにおける株式の割合が5割とされたことなどによって、運用結果の変動幅が拡大し、国民の不安を高めている。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のガバナンスについては、被保険者の意思を確実に反映する点で全く不十分な経営委員会の委員構成となっている。
  5. (5)企業年金制度については、実施企業が減少傾向にあり、特に、中小企業では実施率が低位で推移している。また、短時間・有期等労働者の多くは企業年金の対象とされていない。
  6. (6)社会的にESG(環境・社会(労働)・コーポレートガバナンス)責任投資の考え方が非常に重視されることから、労働組合としても取り組みの強化が求められている。

TOPへ