3.安心できる社会保障制度の確立|子ども・子育て支援政策

2-11-5.子どもの人権を守り、子どもの豊かな育ちの環境を確立する。

  1. (1)国は、子どもの貧困対策への支援を拡充し、子どもの貧困の解消をはかる。

    ①子どもの貧困に関する全国的な実態調査を速やかに実施する。

    ②子どもの貧困対策を充実するために経済的支援、就労支援とともに、食事支援、生活支援、学習支援などを包括的に行う。

    ③ひとり親家庭の課題を把握・整理し、適切な支援メニューにつなげるため、母子・父子自立支援員を中心としたアウトリーチ(訪問支援)型の相談支援体制をより一層整え、相談支援窓口の整備のために必要となるさらなる支援を行う。

    ④地域における、ひとり親家庭への支援メニューや支援施策のさらなる周知、広報対策、利用を促進する。

  2. (2)国および地方自治体は、子どもの人権を守り、児童虐待の予防と対応策を強化するために、次の措置を講ずる。

    ①懲戒権の削除および「監護・教育をするにあたっては、子の人格を尊重するとともに年齢および発達の程度に配慮する」とした民法の改正、および、子どもの権利条約にもとづく「こども基本法」の周知を徹底する。

    ②子どもを人権侵害から保護するため、子ども自身の意見・意向を表すための年齢や発達、個々の特性に応じた支援体制を整備する。また、意見聴取の実施方法や実施状況について評価・検証を行う。

    ③保護者等の不安を解消し、妊娠期から子育て期までの支援を強化するため、妊婦健康診査や乳幼児健康診査の周知を徹底する。また、乳幼児健康診査や就学時健康診断において保護者への相談支援を同時に行うとともに、3歳児の健診以降の定期健診の機会を充実させる。

    ④児童虐待等に関する相談体制を以下のとおり強化する。

    a)児童虐待相談処理件数の急増に対応し、児童相談所の児童福祉司の配置基準を大幅に引き上げ、それに応じた地方財政措置を行い、児童福祉司を増員する。また、児童福祉司に国家資格を有する者を任用するなど専門性の向上をはかる。

    b)相談員、児童心理司等専門職員の配置を増やし、児童虐待に関する予防的な取り組み及び介入の徹底、虐待を行った保護者へのケア、家族再統合の支援など、児童相談所の機能を強化する。

    c)被虐待児や虐待をした保護者などの心のケア、子どもの問題行動やトラウマへの適切なケアへの迅速な対応を行うため、市町村の児童家庭相談援助における職員の専門性の確保、カウンセラーの育成・計画的配置を進めるとともに必要な財政支援を行う。

    ⑤児童福祉関係行政機関である児童相談所、福祉事務所、保健所、保育所、学校、民間団体、NPO等の連携を強化するため、市町村による要保護児童対策地域協議会の設置を徹底するとともに、同協議会が児童虐待等の予防・早期発見・早期対応を果たせるよう、体制面などの機能を強化する。

    ⑥児童虐待防止法の国民への周知をはかる。特に、国民の通告義務(児童福祉法第25条)について、啓発、広報の徹底をはかる。また、児童虐待防止に向けた啓発のため、オレンジリボン運動を推進する。

  3. (3)国は、すべての子どもの育ちを保障する観点から、家庭への養育支援から代替養育までの社会的養育を充実させる。

    ①子どもへの影響を配慮しつつ児童養護施設の小舎化とグループホーム化をすすめるため、さらなる財源の投入を進め、小規模施設向けの保護単価の新設などの改善を行う。また、入所児童への個別的な支援を強化し、施設職員による虐待防止のため施設の職員配置基準の改善や、心理職員などの専門職員の配置が可能となるよう財源確保を行う。また、乳児院についても、措置費の改善を行う。

    ②施設を退所した児童等の自立支援のために、自立援助ホームに対する財政支援を強化し児童養護施設におけるアフターケア体制を充実する。

    ③施設職員による虐待を防止するため、養育(ペアレンティング)、暴力防止のための教育、人権教育などのプログラムを実施する。

    ④児童相談所の一時保護所について、子どもの意見・意向を子どもの年齢や発達状況、個々の特性に応じた適切な方法で聴取し、子どもの心身に関する安定の観点から設置・運営基準を含めて改善を検討する。

    ⑤児童自立支援施設について、現行の設置主体を基本とし、夫婦小舎制の維持、職員の専門性の確保をはかる。母子自立支援センターなどの社会的養護関係施設について、さらなる機能強化のため財源確保を進める。

    ⑥里親制度の充実に向け、里親制度に対する広報の強化と里親の育成や支援強化に向け、児童相談所および児童家庭支援センター等の体制強化を進める。また、里親手当の引上げも検討する。

  4. (4)国および地方自治体は、障がい児支援について、次の措置を講ずる。

    ①障がい児とその保護者への支援は、子ども・子育て施策の一環と位置づけ、「合理的配慮」を前提として、普遍的に行う仕組みとする。さらに特別な支援が必要な施策については、障がい者施策に組み込む。

    ②児童養護施設や乳児院、保育施設などの児童福祉施設について、障がい児も受け入れ可能な開かれた仕組みにするとともに、日常の生活の場にふさわしい施設水準に改善する。

    ③医療的ケアが日常的に必要な障がい児(医療的ケア児)への医療提供を確保するため、以下のとおりの対応を行う。

    a)医療的ケア児とそれを支える家族への支援として、障害児通所支援事業所や保育所、幼稚園、学校、放課後児童クラブなどの職員が医療的ケアに関する研修を受講し、医療的ケアを行える人材を育成することで、医療的ケア児の受け入れ体制を充実させる。

    b)医療的ケア児等コーディネーター養成研修などの保育士の受講を支援し、看護師や担当保育士などを確保した体制を整備する。

    ④発達障がい児の早期発見と早期対応のための基盤を整備する。また、発達障がいおよび発達障がいの特性が見られるものの診断には満たない場合の課題については、 社会全体の理解を深めつつ、その特性に応じた支援を行う仕組みを構築する。

  5. (5)国および地方自治体は、思春期・青年期における対策を強化する。

    ①思春期精神疾患に関わる専門家の養成を行うとともに、アウトリーチ(訪問支援)型の相談支援サービスを強化する。

    ②ひきこもり地域支援センターの設置を促進するとともに、同センターの周知をはかる。

    ③思春期に関わる総合相談窓口の設置に向け、学校や児童相談所、ひきこもり地域センターおよび地域若者サポートステーションなどの関係機関の連携を強化する。

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