1.持続可能で健全な経済の発展|税制改革

2-2-0.税制改革<背景と考え方>

  1. (1)名目賃金や物価の上昇などを背景として、税収は過去最高を更新しているが、高齢化の進行による社会保障関係費の増加などにより、歳出が歳入を大幅に上回る状況が続き、将来世代への負担の先送りが続いている。こうした中、高止まりする物価高への対応として、社会保障費の代替財源議論なく消費税の減税や廃止を求める声が大きくなっており、税財政の持続可能性への影響が懸念される状況にある。このため、納税者が税のもつ意義・目的や納税者自身の権利・義務についての理解を高められるよう、納税者の理解・関心・納得に資する納税の仕組みを構築する必要がある。
  2. (2)貧困の固定化と格差の拡大が進む中、所得再分配機能の強化に向けた所得税改革は喫緊の課題であり、2023年6月の政府税調の中期答申においても、再分配実現の重要性の高まりが指摘されている。2026年度の税制改正では、物価上昇に伴い所得税の基礎控除などを適時見直すとされたことに加え、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置が見直されたものの、所得再分配機能の強化や働き方に中立的な税制の実現という観点からは依然として課題が残されている。給付付き税額控除制度の導入、金融所得課税の強化、所得税の人的控除の見直しなどが必要である。
  3. (3)法人税の実効税率は、国際的な法人税率引き下げの動きの中で、わが国においても段階的に引き下げを行ってきており、社会保険料を含めた企業負担という視点からみると、先進国の中で中ぐらいの水準である。多くの企業が国・地方において公共サービスの恩恵を受けて経済活動を行っていることや、わが国経済社会の状況を踏まえれば、企業もその社会的責任に見合った負担を担う必要がある。また、赤字法人の割合は依然6割を超えるなど、法人課税の負担に偏りがあり、国民の目からみて、納得感のある法人課税としていく必要がある。
  4. (4)自動車関係諸税については、揮発油税・地方揮発油税(ガソリン)が2025年12月に、軽油引取税(軽油)が2026年4月に、いわゆる「当分の間税率」が廃止された。また、2026年度税制改正で、環境性能割が廃止されるなど、自動車関係諸税の軽減・簡素化が一定程度進捗した。しかし、ガソリン・軽油の「当分の間税率」廃止に伴う安定財源確保のための具体的方策は示されておらず、自動車重量税の「当分の間税率」も存続している。自動車関係諸税は地方財政に配慮しつつ、課税根拠を総合的に整理し、軽減・簡素化をはかる必要がある。
  5. (5)地方自治体は国民生活に密接にかかわる公共サービスの多くを担っているが、地方の税財政基盤は十分に手当てされているとはいえず、また、地域間の経済力格差や、人口減少・高齢化の影響による税源偏在への対応も課題となっている。地方は普遍的な住民ニーズを満たすための安定した税財源を確保するとともに、国は成長による税収増を見込める方向で地方税制を見直すなど、国と地方の役割分担などを踏まえ、地方分権にふさわしい地方税・財政をめざして改革を行う必要がある。
  6. (6)連合は、2025年5月に「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けた税制のあり方として「税制改革構想(第4次)」(改訂版)を確認した。次の世代に持続可能で包摂的な社会を引き継いでいくためにも、同構想の基本理念である「公平・連帯・納得」の税制改革の実現が求められる。

TOPへ