- (1)2018年に成立した改正労働安全衛生法について、職場の実情を踏まえて着実に実施する。
①改正労働安全衛生法により義務化された「管理監督者を含めすべての労働者の労働時間の適正な把握」や「産業医への情報提供」などが確実に実施されるよう周知・指導を行う。また、事業場において、産業医等が労働者からの健康相談に応じ、適切に対応できるよう事業場における必要な体制整備の支援を行う。
②ストレスチェックについて、労働者数50人未満の事業場も含むすべての事業場で実施されるよう、事業者や労働者などへの周知・指導を行い、必要な支援策を実施する。
a)労働者のプライバシー保護と不利益取り扱い防止に向け、指導・監督を強化する。ストレスチェック結果を踏まえた職場改善を推進するため、職場ごとの課題を明らかにする集団分析の実施と安全衛生委員会への報告を義務化する。
b)中小企業において、高ストレス者とされた労働者に対する面接指導が適切に実施されるよう指導を強化する。
c)派遣労働者に対してもストレスチェックが確実に実施されるよう派遣元・派遣先に周知・指導を徹底する。
- (2)労働災害を予防する施策の充実・強化をはかる。
①産業の特性や雇用・就業形態の多様性、第三次産業における労働災害の増加傾向などを踏まえた労働災害の実態調査・分析と対策を推進する。また、外国人労働者の労働災害の実態を踏まえ、原因分析をした上で、その低減に向けた対策を講じる。
②派遣労働者に対する派遣元・派遣先による効果的で厳格な安全衛生教育の実施と、派遣元と派遣先の合同による安全衛生委員会の設置の推進、派遣労働者、有期・パート労働者などを含めた事業主の安全配慮義務の履行を確保する法整備を行う。加えて、派遣先責任の強化として、派遣先で派遣労働者の一般定期健康診断を代行実施する制度を法制化する。
③派遣・請負労働者の安全衛生体制を強化するため、「製造業における元方事業者による総合的な安全衛生管理のための指針」を義務化するとともに、製造業以外の業種においても適切に適用する。
④安全委員会・衛生委員会の設置義務をすべての事業場に拡大する。衛生委員会の設置基準について、当面は現行の50人以上から30人以上に変更する。また、事業場内の協力会社(下請会社、派遣元など)の安全衛生担当者を含めた「合同安全衛生委員会」の創設義務化を検討する。
- (3)労災補償を拡充する。
①労災補償の認定について、労使も参画した「認定基準等審査会議(仮称)」を設置し、労災適用対象疾病の拡大や認定基準の見直しを行う。特に、長時間労働による労災認定の目安となる労働時間について、精神疾患の場合が脳・心臓疾患の場合より長くなっている認定基準の見直しを行う。
②労災補償の認定申請における申請者から使用者への立証責任の転換を含め、使用者の役割責任を強化する。
③労災隠しの摘発を強化する。
④労働保険審査制度について、審査手続きを迅速かつ確実に行う。
⑤労災保険制度について、政府管掌保険体制を維持する。
⑥労災保険特別加入制度について、対象職種の範囲拡大など、必要な見直しを行う。また、雇用類似の働き方をする者の労災保険の加入のあり方についても検討を行う。