横断的な項目|非正規雇用に関わる政策

2-29-3.有期契約、パートタイム、労働者派遣、請負など、多様な雇用・就業形態の労働者の雇用の安定と公正な処遇を確保する。(「雇用・労働政策」より再掲)

  1. (1)同一労働同一賃金の法整備の施行状況や待遇差に関する司法判断の蓄積などを踏まえつつ、雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を実現に向けた取り組みを進める。

    ①同一労働同一賃金に係る法整備の実効性を確保するため、「同一労働同一賃金ガイドライン」を含め、パート・有期雇用労働者のあらゆる待遇差の改善に関し、労使への周知徹底をはかる。併せて、相談・支援体制の一層の充実・強化をはかる。

    ②待遇差の合理性の立証責任の使用者への転換や、待遇差が無効とされた場合の補充効の明確化など、残された課題について検討を進める。

    ③派遣労働者の待遇決定に関しては、派遣先から派遣元への情報提供義務の徹底など、法の実効性を確保するための周知及び指導徹底をはかる。

  2. (2)有期労働契約について、2012年改正労働契約法や有期特措法、2023年改正の労基則および雇止め告示の施行後の運用状況の検証を行い、残された課題に引き続き取り組む。
    ①労働契約法第18条の無期転換ルールについて、有期契約労働者の雇用の安定をはかるため、無期転換を希望する有期契約労働者が確実に権利行使できるよう労使への周知を徹底し、必要な指導等を行う。また、無期転換権行使の実効性を確保するための方策について引き続き検討する。
    ②無期転換後の労働者におけるあらゆる待遇差の改善に向けて、労使への周知を徹底し、必要な指導等を行う。
    ③有期労働契約の締結には合理的理由を必要とする入り口規制を行う。
    ④「有期労働契約の締結、更新および雇止めに関する基準」(大臣告示)の法制化をはかり、雇止め予告について、予告期間未満の場合の手当の支払も含めた制度化を検討する。
    ⑤有期特措法について、法施行後の特例の適用状況の検証を行い、労働者保護の趣旨が損なわれている場合には廃止も含めた制度の見直しを行う。
  3. (3) 2020年7月の労働力需給制度部会における「労働者派遣制度に関する議論の中間整理」を踏まえ、改めて法の周知を徹底するとともに、厳格な指導・監督を行う。

    ①派遣労働者の希望を踏まえた雇用安定措置や、派遣期間延長の際の労働組合等への意見聴取の着実な実施を徹底する。

    ②引き続き検討課題とされた派遣先の団交応諾義務について、法定化に向け、労働組合法との関係も含めて早期に専門的見地から検討を開始する。

    ③「労働契約申込みみなし制度」の運用状況を検証しながら必要な見直しを行うとともに、対象となる偽装請負・違法派遣の一掃に向けた指導・監督を強化する。

    ④日雇い派遣は原則禁止を堅持し、禁止の例外事由の拡大などは行わない。

  4. (4)就業者保護の観点から法的に未整備の部分が多い、「クラウド・ソーシング」の普及などにより拡大傾向にある「自営型テレワーク」や「個人請負」「委託労働」などの形態で働く者について、適切な保護をはかる。

    ①労働基準法などの規定の趣旨に照らして保護すべき労働者は、雇用労働者に適用される労働関係法令を適用する。

    ②「曖昧な雇用」で働く就業者保護をはかるべく、「労働者」概念を社会の実態に合わせて見直し、拡充する。

    ③フリーランス新法にもとづく契約ルールの適正化やハラスメント防止などの実効性を確保するとともに、最低報酬の設定や仲介業者に対する規制等の法整備をはかる。

    ④「曖昧な雇用」で働く就業者のうち、より独立性、事業者性が強い働き方をする者に対しては、個別の論点により保護の必要性について検討する。

  5. (5)副業・兼業の安易な推進は行わない。また、複数就労せざるを得ない者の保護に向け、法的未解決の課題を整理する。

    ①労働保険については、すべての雇用労働者にとってのセーフティネットとなるよう、適用と給付のあり方について検討を進める。

  6. (6)国や地方自治体の臨時・非常勤等職員の雇用の安定と待遇改善をはかるため、公務が適用除外とされる労働契約法やパート・有期法の趣旨が国家公務員・地方公務員制度へ反映されるようにさらに必要な法整備をはかる。

 

TOPへ