1.持続可能で健全な経済の発展|経済政策

2-1-3.財政再建は、一律的な歳出削減による財政赤字削減のみを先行させるのではなく、社会保障充実のための安定財源確保と中長期的な財政健全化を強く意識した税財政一体での抜本改革を実施する。

  1. (1)政府は、自律的な経済成長をめざすとともに、持続可能な経済・社会の実現に向け、以下の点にもとづき、中長期的な財政健全化を進め、将来世代への負担の先送りを解消する。

    ①行財政改革と税制の抜本改革による財源調達能力の強化、および節度ある国債の発行により早期の「プライマリーバランス(注1)の黒字化」を達成した上で、高水準にある債務残高を中長期的に圧縮する。

    ②中長期的な財政再建・健全化をめざすうえでは、本格的な人口減少・超少子高齢社会に突入することを前提としながら、一律的な歳出削減を行うのではなく、税収基盤の強化を進めるとともに、社会保障、教育、環境、防災・減災、地域活性化など国民のくらしに直結した歳出項目へ予算配分を重点化する。そのために、社会保障と税の一体改革の着実な実現を通じて自動安定化機能を強化し、景気循環の影響を受けにくい財政構造を構築する。

    ③政府は、財政規律の維持・強化に向けて、補正予算編成も含めた年度予算全体の中での規律を厳格化する。そのために、中期財政フレームのような財政計画を策定する中で、新規国債発行や歳出額の上限を設けるなど、予算編成の枠組みをルール化する。

    ④歳入・歳出を含む行政監視機能の充実をはかるため、立法府への「日本版GAO(注2)」(行財政監視評価委員会(仮称))の設置も展望しつつ、国と地方の財政に関する将来推計や、政府の財政計画の監視・評価を行う内閣から独立した機関(いわゆる独立財政機関)を設置する。

  2. (2)政府は、財政投融資制度や特別会計についても、その財政活動を国民にわかりやすく明示するとともに、国会において透明性のある審議を行う。財政投融資制度は、民業補完を前提として、政府支援の必要性を終えた事業への融資・投資の廃止等抜本的な改革を進める。財投機関は、情報開示の促進と市場原理との調和をはかり、公的な役割を終える時期に合わせ、職員の雇用の場を確保しつつ廃止・縮小、民営化などを計画的に行う。特別会計は、仕組みを簡素化するとともに、経済や社会の環境変化に応じて毎年見直しを行う。
  3. (3)国と地方の役割分担を明確化し、地方自治体の自主性・自立性を高める地方分権を推進するために、政府・地方自治体は以下の諸施策を行う。

    ①国税と地方税の比率は、当面は社会保障と税の一体改革の進捗状況を踏まえて、国と地方の役割分担に応じた配分を進めつつ、将来的には少なくとも50対50 となるよう税源移譲を進める。

    ②地方交付税は、地方自治体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方自治体が必要な公共サービスの一定水準を維持しうるよう財源を保障する制度であることから、政府は、基準財政需要額の算定にあたっては、地方自治体が参加する中で算定方法や交付税特別会計の予算・決算を決定し、その透明化をはかるとともに、効率的な行政事務を行うための算定方法の簡素化を進める。地方交付税の財源として、交付税の対象税目と地方への配分比率を拡大し、十分な交付税財源を確保するとともに、既存の国庫補助負担金制度について、公共事業等のための地方自治体の使い勝手の良い財源として国庫補助金の一括交付金化をはかるなどの改革を進める。このとき、社会保障や義務教育に係わる一般行政費国庫負担金は、一括交付金化の対象としない。

    ③地方自治体は、住民や地域の労働組合、NPO等、関係団体の参加のもとで、国または他の地方自治体が行うべき業務の仕分け、不要事業の廃止や民間への委託等を行い、行財政改革を進める。

  4. (4)公共事業について、一律的な事業量の削減を行うのではなく、地方の独自性と効率性の強化をめざし、国・地方自治体は以下の見直しや体制構築に向けた諸施策を行う。

    ①雇用創出、地域経済活性化および老朽化した社会インフラの再整備に資するもので、福祉型社会において不可欠なサービス部門や通信、防災、省エネ化などの生活基盤強化につながり経済効果も大きい事業を中心に重点化する。重点化にあたっては、雇用創出量を明示したうえで、必要なものは速やかに実行する。

    ②政府は、公共投資関係予算の効果検証を厳格に行い、不要事業を廃止するとともに、PPP(注3)・PFI(注4)による民間の資金やノウハウの活用も行いながら、投資効率を引き上げる。

    ③政府は、公共事業を地域の実情に即した地方自治体主導に改め、国の直轄事業は、地方自治体単独では実施が困難な広域事業や大規模災害の復旧事業、国際競争力強化のための産業基盤整備事業等に絞り込む。個別補助金は、地方の歳出に対する国の義務付けを縮小し、整理・統合する。

    ④国・地方自治体は、PFIも活用し、高齢者施設、病院、学校等、機動的かつ効率的な社会資本整備をはかる。また、事業の適用範囲や税制の軽減措置の拡大を行う。対象事業の選択にあたっては、公正・透明な手続きで行うことはもちろん、公共サービスの質の確保と適正な業務執行をはかる観点から、国や地方自治体が事業を行う場合とのコスト比較を義務づける。また、民間を活用する場合は、不当な価格競争に陥ることのないよう、事業者の選択方法についても公正性・透明性を担保したうえで、民間委託先従業員の適切な労働処遇条件の確保を要件に入れる。

  1. (注1)プライマリーバランス ~基礎的財政収支。国債など借入を除いた税収などの歳入から、過去の借入に対する元利払いを除いた歳出を差し引いた財政収支。
  2. (注2)GAO ~General Accounting Office の略。米国では、立法府内に設置され、議会の指示を受けて、行政に対する調査・提言を行っている。立法府が行政府の行った評価をチェックするとともに、行政府が評価し難い分野について評価を行う。分析・評価に関する専門的知識を活用するため、民間のシンクタンク、コンサルタント等の活用が求められている。
  3. (注3)PPP~Public Private Partnershipの略。公共サービスの提供に民間が参画する手法を幅広く捉えた概念で、「官民連携」とも呼ばれ、民間資本や民間のノウハウを活用し、効率化や公共サービスの向上を目指すものとされている。
  4. (注4)PFI~Private Finance Initiativeの略。PPPの代表的な手法の1つ。公共施設などの建設や運営などを民間企業の資金や経営能力、技術的能力を使って行う手法。

 

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