- (1)デジタル行政の推進にあたっては、省庁横断的な取り組みをより一層推進する体制を確立するとともに、施策立案と実現を行う。
- (2)産業におけるDX推進に向け、先端技術をはじめ競争力や新たな雇用・産業の機会創出につながる分野の規制を優先して見直す。その推進にあたっては、国民の権利および安心・安全に関わる規制について慎重に対応するとともに、規制改革の結果に関する検証システムを構築する。
- (3)安心・安全なデータ利活用の実現に向け、徹底した個人情報保護策を講じるとともに、プライバシー等の人権侵害、データやアルゴリズムの不利益など諸課題への対応を強化する。
①データの取り扱いにあたっては、利用目的の明確化と事前告知や取得時、取得後の取り扱い、管理におけるルールの徹底・実効性ある本人同意など、自己に関する情報の取扱いに関し自ら決定できる仕組みづくりに加え、意図しない目的で個人データが利用される場合の削除の求めなど本人の意思にもとづく円滑な個人データの移動や、本人同意なしに個人データを自動的に分析又は予測されないことの確保のあり方について検討を行い、必要な措置を講じる。
②プライバシー侵害やデータの流出、悪用に対する国民の不安払しょくに向け、個人情報保護委員会のさらなる機能強化など、安全・安心にデータ利活用できる環境整備をはかる。
③デジタルプラットフォーマーをはじめとする企業が収集する多種・多様で膨大な情報の適正な取り扱いのあり方や、サイバー攻撃、著作権侵害など、インターネット上に顕在化している課題に対し、産官学が連携して対策を講じるとともに、早期の情報共有や、喫緊の課題である人材育成や技術開発、セキュリティ設備投資に関する施策を強化する。あわせて、国際的な対策やルールづくりを行う。
④国際的な技術革新競争に際し、良質なデータの獲得およびアルゴリズム(情報処理手順)構築に向けた国家的戦略を策定するとともに、個人情報や国家間の越境データの取り扱いに関する国際的規則を策定する。
⑤ビッグデータをはじめとする個人情報の流出や不正利用防止に向けて情報資源の適正な管理を行う。また、個人情報保護委員会の機能を強化し、マイナンバーをはじめとする個人情報の厳格な保護を徹底するとともに、データの適切な利活用に向けて、不正競争防止法の周知・遵守を徹底する。
- (4)セキュリティ対策を含めたインフラの整備を進める。
①ブロードバンドネットワークが普及する中、固定電話などの利用者に不安と利便性の低下が生じないよう万全の配慮を行う。
②電波需給の逼迫状況緩和に向けて、電波の効率的な利用やデータ圧縮などの研究開発を推進する。なお、ホワイトスペース(注5)の利活用については、公共空間としての前提のもと、地域密着型のエリアワンセグ放送や防災・減災放送などを推進する。
③電波利用料制度の見直しに際しては、利用者負担の増加や利便性の低下など国民への影響が出ないよう慎重に対応する。
④5G・6Gなど新世代の通信技術の利活用に向けた環境整備をはかるなど、あらゆる産業と社会インフラの健全な発展に資する取り組みを進める。
⑤テレワークの進展を踏まえ、就業時の情報セキュリティ向上、とりわけ管理分門が遠隔においても監査、監督業務が行うことができる環境整備を推進する。
- (注5)ホワイトスペース ~隣り合う周波数帯の混信を防ぐために設けられていた空白の領域。デジタル方式での通信技術の進歩により、混信の懸念が少なくなったため有効活用が検討されている