2023年度重点政策|8 東日本大震災からの復興・再生と防災・減災対策の充実

8 東日本大震災からの復興・再生と防災・減災対策の充実

すべての人が安全・安心に避難できる防災・減災対策の徹底

東日本大震災の被災地域では、住まいの再建やインフラ整備などが進み、復興の「総仕上げ」の段階とされている。一方、連合の被災地ヒアリングでは、地域コミュニティの再生や心身のケア、孤独・孤立、生活困窮など、住民を取り巻く課題が複雑・多様化しているとの声が寄せられた。被災者が安心して生活を再建できるよう、重層的な支援の強化が必要である。
近年相次ぐ自然災害に対しては、日頃からの備えとして、人的・物的被害を軽減するための防災・減災の取り組み強化が不可欠である。
2021 年5 月の災害対策基本法改正で、災害時に周囲の支援が必要な高齢者や障がい者らが避難する方法などを事前に決める「個別避難計画」の作成が市区町村の努力義務になったが、2022年1月1日現在、約3分の1の地方自治体が未作成となっている(図1)。
災害時にすべての人が安全・安心に避難するためには、地方自治体がプッシュ型の防災情報がすべての地域に行き届くよう、デジタル弱者に配慮しつつ、複数の伝達手段を確保するとともに、個別避難計画の策定、避難所の運営への多様な意見の反映などを促進する必要がある。
内閣府の世論調査(2022年12月)によると、災害が起こったときに充実してほしい情報は、「震度・雨量・特別警報などの情報」が最も多く、次いで「ライフラインの復旧見通し」となっている(図2)。こうした情報は住民の生命、身体の安全に直結する情報であり、安全な避難を促すためにも、タイムリーな発信が欠かせない。
また、交通・運輸、電力・ガス・水道をはじめとする基幹インフラなど、災害時でも住民生活に欠かせない事業に従事する労働者の安全を確保するため、事業活動を休止する目安の設定などの取り組みを進めるとともに、事業者や国民の理解が得られるよう周知徹底をはかることが求められる。

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