2023年度重点政策|8 東日本大震災からの復興・再生と防災・減災対策の充実

8 東日本大震災からの復興・再生と防災・減災対策の充実

風評被害対策および子どもの心のケアの強化

東日本大震災から12年が経過したが、被災地産食品の風評被害は根強く残る。東京大学他の調査によると、「福島県産食品についてどう思うか」との質問に、「非常に危険」「やや危険」とした人の割合は、日本で21.7%と、2017年調査の29.7%から低下したものの、今なお2割を超える(図1)。また、「ALPS処理水が海洋放出された場合、福島県産食品の安全性をどう思うか」との質問に、「とても危険」「やや危険」とした人の割合は、日本で36.4% であったが、韓国で93.0%、中国で87.0%と、近隣諸国を中心に海外で高く、調査した各国とも6割を超える(図2)。同調査では、海洋放出される処理水はWHOの飲料水基準を満たすレベルまで処理されることなどが国内外で十分に知られていない実情も明らかになっている。政府は、被災地産食品の安全証明や販路拡大の支援を徹底するとともに、国内外に向け、被災地産食品の安全性やALPS処理水に関する科学的で正確な情報の発信を強化する必要がある。
また、東日本大震災による避難者数は3.1 万人にのぼる(2023年3月現在、復興庁調べ)など、精神的負担を抱えて生活する人は現在でも多く、心のケアが今も必要である。
NHKの被災地調査によると、今後の復興で「被災者の心のケア」が「大いに必要」「やや必要」とした人の割合は、54.2%に及ぶ(図3)。連合が毎年被災地で実施しているヒアリングでも、とくに子どもの精神的負担が重く、心のケアの充実が必要との声が寄せられている。
政府と自治体は、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーを常勤配置するとともに、すべての学校で養護教諭を配置・増員するなどして、被災による心的ストレスや特別な配慮を要する子どもの心のケアを万全に行う必要がある。

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