2023年度重点政策|6 すべての世代が安心できる社会保障制度の確立

6 すべての世代が安心できる社会保障制度の確立

誰もが住み慣れた地域で質の高い介護保険サービスを受けられる介護保険制度の確立

高齢者人口がピークを迎える2040年には、生産年齢人口が急減するとともに、高齢者人口のうち85歳以上の人口の割合が上昇する。そのため、国の推計では2040 年までに介護職員は約280万人必要となるが、約69万人が不足すると見込まれている。2022年「厚生労働白書」において「人材確保が社会保障の最重要課題」と指摘されているように、住み慣れた地域で誰もが安心して介護サービスを受けられるようにするためには、処遇改善を通じた人材確保が最重要課題となる。
連合「医療・介護フェス2022」(2022年5月)のアンケートでは、介護の現場で働く仲間から「コロナ対応に関わった人だけでなく後方支援の人も疲弊している」「コロナ禍となって2年以上たってもなお、現場は想像以上にひっ迫した状況にある」「介護の大変さを考えるのであれば、賃金をあげることこそ優先すべき」などの声が寄せられた。
介護の現場では慢性的な人員不足がコロナ禍前より続いており、連合「新型コロナウイルス感染拡大下の介護現場実態調査」(2021年4~5月実施)では、勤務先事業所の職員が「不足している」との回答が70%を超えている(図1)。
2022年10月には、臨時の介護報酬改定により、介護職員の収入を3%程度(月額平均9,000円相当)引き上げるための措置が講じられたが、介護職員の賃金は未だ全産業平均を約120万円下回っている(図2)。2024年度介護報酬改定を含め、収入の3%程度の引き上げにとどめることなく、全産業平均の水準に達するまで、介護現場で働くすべての労働者の処遇改善を継続的に行うべきである。介護職員処遇改善加算の引き上げや給付対象者の拡充などを通じて、介護職員の賃金を確実かつ継続的に改善するなどの具体策の実行が求められる。

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