2023年度重点政策|5 ジェンダー平等で多様性を認め合う社会の実現

5 ジェンダー平等で多様性を認め合う社会の実現

困難な問題を抱える女性へのセーフティネット強化

労働力調査によると、新型コロナウイルスの影響により2020年4月以降、対前年同月比で減少が続いていた就業者数は、2021年第4四半期を底に回復基調にある。特に女性のパート・アルバイト・派遣労働者が多く従事する宿泊業・飲食サービス業で回復がみられ、正規雇用・非正規雇用ともに増加している。しかし女性の非正規雇用の職員・従業員に占める年間収入100万円未満の割合は41.2%、100万~199万円は38.2%で、全女性労働者の半数を占める非正規雇用で働く女性1,432万人の約8割が年収200万円未満となっており、非正規雇用で働く女性が主たる生計を維持している場合は依然として厳しい生活を送る状態になっている。
2021年に内閣府が行った調査では、ひとり親世帯の88%を占める119万の母子世帯における就業率は86.3%と高いが、平均年間就労収入は父子世帯の496 万円に対し、母子世帯は236万円と、父子世帯を大きく下回っている。さらに、母子世帯の38.8%は非正規雇用で、その平均年間就労収入は150万円と正規雇用の母子世帯の収入の半分以下である。
国および自治体は、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律*」の施行に向け、第9条-第13条を踏まえ、包括的な公的相談・支援体制を着実に強化する必要がある。あわせて第19条にもとづき、生活困窮者に対して支援を行うNPO等民間団体によるフードロス対策を兼ねた食材や衛生用品の提供といった生活必需品の直接支援や、宿泊・避難施設等を提供する対策へ助成を強化することが重要である。また、現場のニーズも踏まえ、育ち盛りの子どもや子育て世帯にとって地域での居場所となるよう、的確に拡充・強化することが重要である。

*議員立法により2022年5月に成立し、2024年4月施行。
 困難な問題やその背景、心身の状況等に応じた最適な支援を受け、自立のための援助等の支援を包括的に提供する体制を整備することを目的とし、都道府県に基本計画等の策定を義務付けている(地方自治体は努力義務)。第9条以降に女性相談支援センター、女性相談支援員、女性自立支援施設による支援に関する必要な事項を定め、第13条には民間団体と協働して「困難を抱える女性」の発見や相談などの支援、第19条には民間団体への援助が規定されている。

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