2023年度重点政策|4 雇用の安定と公正労働条件の確保

4 雇用の安定と公正労働条件の確保

「曖昧な雇用」で働く就業者の保護

就業形態の多様化、IT化の進展、プラットフォームエコノミーの台頭等により、雇用と自営の中間的な「曖昧な雇用」が増加し、コロナ禍において「曖昧な雇用」で働く者のセーフティネットの脆弱性が一層明確になった。
連合の調査によれば、仕事上でトラブルを経験したフリーランスは約半数にのぼる。不当に低い報酬や支払遅延、不払いなどとともに、仕事内容の一方的な取消しや変更などのトラブルが多い(図1)。また、内閣官房の調査では仲介事業者とのトラブルも報告されており、報酬や業務内容などの条件の一方的な変更が最多である(図2)。こうしたトラブルの実態から、フリーランスの半数以上が保護法制の整備が必要と回答している(図3)。
政府は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」(2023年2月24日閣議決定)により、フリーランスと事業者間の取引の適正化を進めるとしている。この法案は、契約の明確化や、就業者からの申告にもとづく行政の履行確保措置などにより、フリーランスと事業者間のトラブルを防止することを目的としており、就業者保護に一定資するものである。
一方、同法案には、安全衛生の確保などが盛り込まれていないことや、仲介事業者を通じた取引に対する規制が不十分であること、申告にもとづく行政措置で履行確保がはかれるのか等の懸念がある。
「曖昧な雇用」で働く者が安心して働ける環境整備に向け、多様な働き方の実態を踏まえた「労働者」概念の見直し・拡充により、労働関係法令を含めた法的保護の強化を早急にはかるべきである。

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