2023年度重点政策|4 雇用の安定と公正労働条件の確保

4 雇用の安定と公正労働条件の確保

外国人労働者の権利保護強化に向けた制度見直しを

政府は、外国人技能実習制度(以下「技能実習制度」)および特定技能制度の見直しを進めている。技能実習制度については、人権侵害や労働関係法令違反(図1)をはじめ問題が山積しており、これらは特定技能制度にも共通する。人権に関する社会的要請が高まる中、外国人労働者のさらなる権利保護の強化は喫緊の課題である。政府として「人権侵害を許さない」という態度を明確にし、より踏み込んだ対策が必要である。
技能実習制度では、労働関係法令違反が多発しているが、監理団体の質の担保や外国人技能実習機構(以下「機構」)の支援体制に課題がある。一方、特定技能制度では、登録支援機関は登録制であるなど実効性にも懸念があり(図2)、機構のような機関もない。監理団体や登録支援機関の要件を厳格化するとともに、一元的な監督指導体制の拡充強化が求められる。悪質な仲介業者の介在や、技能実習生の不適切な費用負担に関しても、その実態を把握し、実効性のある対策を講じることが重要だ。
加えて、同等報酬規定の実効性確保の方策や、技能および能力の見える化と連動した処遇改善の仕組みも検討すべきである。
また、受け入れた外国人労働者については 日本人と同様に人権が保障されることだけでなく、外国人としてのアイデンティティを認めるなど、日本社会で共生していくための配慮なども必要である。
長期在留の外国人労働者は、家族とともに日本の社会で、日本人と同様に生活をする。長期以外でも、日本での生活基盤ができるにつれ定住化も進展する。そうした視点から社会保障、教育、公共サービス、多文化理解などの環境整備を含め必要な制度や対策、そのための費用などについて多角的に検討すべきだ。

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