連合ニュース 2024年

 
2024年05月15日
院内集会「5.14『守ろう!外国人労働者のいのちと権利』集会 -国会審議に向けた現場からの声-」を開催
 5月14日、連合は、JAMや外国人技能実習生弁護士連絡会、外国人労働者の支援団体とともに、「5.14『守ろう!外国人労働者のいのちと権利』集会-国会審議に向けた現場からの声―」を参議院議員会館講堂において開催しました。
 この院内集会は、政府が国会へ提出した入管難民法及び技能実習法改正法案(以下、閣法)について、外国人労働者の権利保護の観点で懸念がある中、技能実習制度および特定技能制度の実態や課題を訴え、両制度の適正化に繋がる国会審議を求めることを目的として開催しました。集会には、国会議員16名が駆けつけるなど、総勢約90名が参加しました。
 
 集会冒頭、国会議員を代表して挨拶した石橋通宏 参議院議員(立憲民主党)は、「衆議院では閣法審議が行われているが、永住権のはく奪や育成就労制度における一部業種での派遣労働の解禁など、様々な問題点が明らかになっている。外国人労働者のいのちと権利が守ることができないと言わざるを得ない。みなさんと力を合わせて闘っていきたい」と述べました。
 
 その後、閣法の課題として、指宿昭一弁護士(外国人技能実習生問題弁護士連絡会共同代表)は、「閣法で創設しようとしている育成就労制度は、奴隷労働の温床として国際的にも問題視されてきた外国人技能実習制度の看板の架け替えに過ぎない」とした上で、転籍要件や送出機関に支払う人材紹介手数料、監理支援機関等の法案の問題点について指摘しました。また、山岸素子 移住者と連帯する全国ネットワーク事務局長は、「法案に突如盛り込まれた『永住許可の取消事由の追加』には立法事実がなく、内容として外国人差別そのものだ」等と述べました。
 
 続いて、「技能実習制度および特定技能制度の問題点-相談現場からの事例報告-」として、現場の実態等について報告がありました。
 JAM組織グループの藤岡小百合氏は、登壇した特定技能制度で働く外国人労働者とともに、「出国前に聞いていた契約と入国後の契約内容が異なる等、特定技能に関する相談が増加傾向。特定技能では外国人技能実習機構の監督指導が及ばないために、こうした問題が放置されており、監督指導の強化が課題。実態をみた国会審議を求める」等と訴えました。
 次いで、報告を行った連合徳島の傅麗 氏は、連合徳島における外国人労働者の労災事案への対応事例を報告。その上で、「労災が多発していることに対し、労働行政で外国人労働者労働条件確保対策が十分になされてきたとは言い難い。育成就労制度では受入れ分野や職種が拡がる方向だが、安全の確保は大前提であり、相談支援体制の一層の強化を含め、外国人労働者の権利を守るための法制度が必要」「外国人にとって安心と安全の確保は最も重要。賃金や社会保障を含めた総合的かつ抜本的な見直しが必要」等と指摘しました。
 その他、大坂恭子弁護士(外国人技能実習生問題弁護士連絡会共同代表)や労働組合関係者からも報告・課題提起等が行われました。
 
 最後に、司会のJAMの川野英樹副書記長は、「本日の事例報告等から、技能実習制度や特定技能制度の実態が明らかとなった。本日の切実な訴えを踏まえた国会審議を求める」等と締めくくり、閉会しました。

 
以上