労働組合や地域のNGO・NPOなどによる「支え合い・助け合い」活動の中から、ユニオニオンが特に気になった活動を紹介するよ!
今回は子どもや若者の貧困について、認定NPO法人キッズドアの渡辺理事長からメッセージをもらったよ

ユニオニオン

ゆにふぁんへのメッセージ

認定NPO法人キッズドア
理事長

渡辺由美子

ラベル#子ども・教育  #フード・飲食店

2023.3.8

若者の収入の低さが少子化の一因に

 私が運営する認定NPO法人キッズドアは主に困窮家庭の子どもの支援をしてきましたが、長引くコロナ禍の影響に加えて物価高騰の波が襲う中、貧困世帯の子どもだけでなく、中間層や上流と言われる子育て家庭でさえも、生活の厳しさや教育負担の大きさを感じているのではないでしょうか?私は15年ほど子どもや保護者の様子を間近で見ながら、子どもの支援に関わる方々とも情報交換をしていますが、今までとは質が違う危機を感じています。
 2022年の出生数は80万人を切ることが確実で、77万人程度という予測もあります。少子化の原因は複雑な要素が絡み合っていますが、大きな要因の一つは、若い人の収入が非常に低い、ということだと私は考えます。大学や専門学校を出て正社員として就職しても、賃金はこの30年ほとんど増えていないのに、社会保険の負担は大幅に増しています。働き方改革は大歓迎ですが、その結果残業代が減って労働者の収入は減り、一方過去最高益を出す企業も少なくありません。

高額な学費が親だけでなく子どもの負担にも

 日本では、高校卒業後に就職するのは18%で、8割以上の子どもが大学や専門学校に進学しますが、その際に約5割の家庭は奨学金や教育ローンを利用します。生活困窮層だけでなく、中間層でも親のお金だけでは大学や専門学校の学費を用意できません。これは、大学や専門学校の学費がとても高いからです。欧州のように大学までの学費が無料や低額であれば、子どもも親も多額の借金をせずに済むのです。今、少子化対策として高等教育の無償化も議論されています。貧困層の子どもだけが利用できる奨学金ではなく、全ての子どもが利用できる高等教育無償化が必要だと思います。
 さらに、奨学金や教育ローンという多額の借金を背負って社会に出る若者が、日本全体の4割を占めています。少ない給料から毎月2〜3万円を返済するというのは、経済的にも心理的にも大きな負担です。今の若者にとっての毎月2~3万円という金額は、バブル世代の感覚とは全く違います。「2、3万円なんて、ちょっと残業すれば大丈夫」という考えは全くありません。奨学金を返し終わるまでは、結婚も子どもを持つこともできない、と考える若者は大勢います。

学校区分別の奨学金受給希望・受給状況
(日本学生支援機構「平成30年度 学生生活調査結果」より

 子どもの貧困の現場では、満足に子どもに食事を用意できない家庭が少なくありません。子どものために親は食事を抜いています。私たちが支援している困窮子育て家庭へのアンケートでは、1日1食という親が17%もいました。子どもへの影響では、「必要な栄養が取れていない」が70%、「風邪などの病気になりやすくなった」28%、「身長や体重が増えていない」25%、と深刻な状況に陥っています。少子化の日本では、子ども一人一人が大切です。今も人手不足ですが、このままでは、しっかりと働ける若者がどんどん減ってしまいます。

一日の平均的な食事回数
(認定NPO法人キッズドア「2022年物価高騰の影響把握のための緊急アンケート 集計結果について」より
食糧支援へのお礼のメッセージ
労使が力を合わせ、子どもを生み育てやすい社会の実現を

 日本で起こっているのは、非正規雇用で働くことはもちろん正規雇用で働いていても、その収入だけでは子どもに十分な教育の機会が与えられない、ということです。まずは企業が十分な給与を社員に払って欲しいですし、それに加えて、児童手当の所得制限を無くし高校まで延長する、金額を増やすなどの改善、そして誰もが安心して教育を受けられるような高等教育の無償化などを迅速に実現しなければ、この急激な少子化は止まらないと思います。
 企業にとっても、優秀で真面目な労働力が失われることは大きな損失です。労使が力を合わせて、子どもを生み育てやすい社会にすることが、何よりも重要だと思います。

 連合の皆様が、賃上げを強く求めていただくことは、国民にとって大変心強いです。正規雇用に加え非正規雇用で働く人の賃上げについても大きな声をあげていただいていることに感謝いたします。日本で働くすべての労働者が、十分な賃金を得て幸せに生活できるように、これからも労働者の声を届けていただくことを期待しております。

ユニオニオン

若者が安心して働き、暮らし、子育てができる社会の実現に向けて、賃上げの大切さを改めて感じたね
ゆにふぁんへのメッセージ、ありがとうございました!

団体情報

認定NPO法人キッズドア

〒104-0033 東京都中央区新川2-16-10 プライムアーバン新川2階

  • 推薦組織: 連合本部
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