春闘勝利へ、次世代へ、タスキをリレー!
~連合熊本・人吉球磨地協が「産別対抗駅伝大会」を開催~

地方連合会・地域協議会(地協)の取り組みを紹介する「あなたのまちの『連合』」シリーズ。今回は、連合熊本・人吉球磨(ひとよしくま)地協にスポットを当てます。 熊本で春闘といえば駅伝、駅伝といえば春闘。なかでも県内で唯一、地協独自に「産別対抗駅伝大会」を開催しているのが人吉球磨地協です。今年で34回目を迎え、地協関係者から「え! うちだけ? 他ではやってないの?」と驚きの声が上がるほど、地域に根づいた駅伝大会。2026年2月7日に開催された大会の模様を取材しました。

34回を数える「団結のカタチ」5年ぶりの村山公園開催

人吉球磨地協は、鹿児島県と宮崎県に隣接する地域で、1市4町5村で構成されています。1991年の地協結成当時、初代の小川祐弘議長が組合員同士の顔合わせや親睦を深める場をつくれないかと考え、着目したのが地域でさかんな「駅伝」でした。翌92年に大会はスタートし、以来、春季生活闘争勝利をめざして、地協組合員とその家族の団結と親睦をはかる春闘恒例行事としてタスキをつないできました。

今年の会場は、人吉駅から車で5分ほどの高台にある村山公園。同公園は2020年7月豪雨で人吉市内を流れる球磨川が氾濫した際に大規模な仮設団地が建てられ、約5年間使用できませんでした。仮設住宅の閉鎖に伴い、今年から再び利用できるようになり、久々の“ホーム”開催です。

コースは、緩やかなアップダウンがある1周1キロの周回コース。全8キロ(8周)を6人でつなぐ「競技の部」と、人数や年齢、区間距離に縛りのない「オープン参加の部」が設けられています。

今年は15チーム(うちオープン参加4チーム)が参加。かつては30チームを超えていましたが、地域の人口と組合数の減少により、近年は18チーム前後で推移しているといいます。今年は衆院選の投票日前日となった影響もあり、例年より少ないエントリーとなりました。            

大きな声援と拍手の中、全チームが完走

【開会式】

大会当日の朝は不安定な空模様でしたが、開会式を待っていたかのように天候は回復。明るい日差しのもと、絶好の駅伝日和となりました。 午前9時半からの開会式は、柿田将博議長による主催者挨拶、昨年度優勝チーム(九州武蔵精密労組)からの優勝カップ返還、松岡隼人人吉市長ら来賓からのエールと続き、選手宣誓でいよいよ開幕です。

【レースの模様】

午前10時、15チームが一斉にスタート。1区からハイペースの展開となり、先頭ランナーは、手元の時計でキロわずか3分というペース(速い!)。瞬く間に2周を走り終え、第2走者へ。後続のチームも次々とタスキをつないでいき、白熱したレース展開に目を奪われているうちに、最終ランナーが続々とフィニッシュ。

参加チームは、日頃から鍛錬を重ねる“ガチ”ランナーのチームもあれば、楽しむことを目的に参加するチームも。しかし、いざ走り出せばどの選手も真剣そのもの。チームメイトや同僚、家族から大きな声援を浴びながら懸命に走り、全チーム見事に完走を果たしました。

表彰式、そして、いざ連合熊本の大会へ

ゴール直後の余韻が残る中、午前11時から閉会式・表彰式が行われました。優勝は「九州武蔵精密労組A」、2位は「錦町職員組合」、3位は「湯前町職員組合・さとり世代」チームでした。

以降順に全チームが表彰されたほか、事前申告タイムとの差が最も小さいチームに贈られる「ピタリ賞」や、春闘勝利をイメージしたゼッケンデザインが審査される「ゼッケン賞」、最年長参加男性への「ゴールド賞」・同女性への「ダイヤモンド賞」、中学生以下参加者への「特別賞」など、多数の賞が用意され、すべてのチームに景品と温かい拍手が送られました。

上位2チームは、3月1日に開催される連合熊本「産別・地協対抗駅伝大会」に人吉球磨地協代表として出場し、県内30超のチームと競うことになります。連合熊本の大会において、人吉球磨地協は精鋭を送り込む存在として一目置かれ、毎年上位争いを演じています。昨年はあと一歩のところで優勝を逃し、今年こそはと期待が高まります。

世代を超えて受け継がれる大会~優勝・準優勝チームへインタビュー~

【優勝チーム】

優勝した自動車総連「九州武蔵精密労組A」チームは、大会2連覇の強豪です。社内に駅伝部があり、約20名の部員が日頃から練習を重ねているといいます。今年は、小・中学生を交えた3チームが競技部門へエントリーし、子ども達も大人と同じ土俵で走るレベルの高さで、世代を超えたチーム力を発揮していました。

「勝因は、1区の飛び出しですね」。そうチームメイトから称賛された1区ランナーは、他を圧倒する区間トップのタイムを叩き出しながらも「実は、3週間前より15秒遅いんです。最近ちょっと太ってしまって…」と照れ笑い。「でも、県の大会まで3週間あるので、しっかり仕上げます。ぶっちぎりの優勝をめざします!」と力強く宣言してくれました。

アンカーを務めた選手は、なんと子どもの頃、この大会を走った“2代目”ランナーだそう。しかも、その背中には“3代目”が!
「父が自治労チームで出場した大会に、今、私が自動車総連チームで参加しています。そして今度は父親の立場で、子どもと一緒に走っています。この大会には、こうして脈々と受け継いでいく魅力があります」と語ってくれました。

久保田浩行事務局長によると、「中学生以下のお子さんの参加が多いのが特徴」というこの大会。会場には多くの子どもランナーの姿があり、34回を重ねた大会が、地域で親しまれ、親から子へ、子から孫へと、着実に次世代へタスキをつないでいることを実感させてくれました。

【準優勝チーム】

準優勝を飾ったのは、自治労「錦町職員組合」チーム。職場に陸上部はないものの、日頃からランニングをしているメンバーが多く、こうした大会のたびに声を掛け合って参加しているのだそう。こちらも、県の大会に向けて「優勝めざして頑張ります!」と誓ってくれました。

準優勝の錦町職員組合チーム

今後の課題~地協リーダーに聞く~

柿田議長は、議長就任からまだ3か月。連合熊本の駅伝大会に携わった経験はあるものの、地協の大会は初めてといいます。「正直、地協との付き合いで半ば義務的に参加しているチームもあるのではと心配していましたが、皆さん心から楽しんでいる様子で安心しました。本当に良い大会だと感じました」と率直な感想を語ってくれました。
一方、「会場の村山公園は車でなければ来づらい場所。偶然居合わせた市民の方にしか見てもらえないのが残念です。組合員さんやご家族がこれだけ集い、いきいきと楽しんでいる姿を、もっと地域の皆さんに見ていただけたらと思います」とも。

大会は組合員とその家族の参加に限られることから、一般への広報は行っていないとのこと。毎年、地元紙からの取材はあるものの、事後掲載のため、リアルタイムで地域住民の目に触れる機会は多くないのが現状です。

久保田事務局長は、地協事務局長を務めて5年。「今年も無事終えることができてほっとしています」と振り返りつつ、「昨年まで使用した公道コースの方が地域の人の目に触れやすく、地域へアピールできたかもしれませんし、走る側も景色を楽しめたかもしれません。ただ、ロードレースの場合、倍のスタッフが必要。どう人員を確保するかが課題です。来年に向けて検討したいと思います」と話されました。

34回の歴史が築き上げた、手際の良い運営とアットホームな雰囲気

34回を重ねてきた伝統行事だけあって、運営は実にスムーズ。スタッフは地協幹事が担い、朝8時から会場設営。機材搬入から競技進行、表彰まで、長年の経験で培われた連携でテキパキと進められ、11時半には撤収が完了しました。

参加者にとっては、受付開始から閉会式までおよそ2時間。走った後の打ち上げランチを楽しみにしているメンバーもいれば、ゴール後すぐ帰路につく選手もいるなど、気軽に参加できるコンパクトさも魅力です。

「土曜の朝にサクッと集まり、ガッと走って、笑顔で帰る」。一見すると気軽な光景も、実はスタッフの段取りの良さと、居心地の良い雰囲気づくりの積み重ねがあってこそ。地協幹事の皆さんが大会を支えていることを改めて実感しました。
春闘勝利と家族・仲間への思いを込めてタスキをつなぐ駅伝大会。50回、100回…と末永く受け継がれていきますように!

■追記■
3月1日、連合熊本「第33回産別・地協対抗駅伝大会」が開催され、人吉球磨地協代表2チームを含む計36チームが参加しました。その結果、「九州武蔵精密労組」チームは惜しくも準優勝、「錦町職員組合」チームは5位でした。