連合ニュース 2017年

 
2017年09月21日
持続可能な社会の実現に向けて!労使で取り組む責任投資シンポジウムを開催
シンポジウム(責任投資シンポジウム)
 連合は、2017年9月20日(水)、大手町フィナンシャルシティにおいて「労使で取り組む責任投資シンポジウム」を開催し、構成組織、地方連合会、企業年金関係者、運用機関など約200名が参加した。
 責任投資については、公的年金の管理運用を行う年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)において、国連の責任投資原則への署名および公的年金の運用にESG指数を選定するなど取り組みが進んでいる。一方、企業年金基金等においては、労働組合が主導的な役割を果たす形での責任投資の実践は、あまり普及していない。このような状況を踏まえ、企業年金基金に関わる労使が相互に理解を深めるとともに、関係機関などとのネットワークの構築を通じて責任投資の取り組みを前進させることを目的として開催した。

 冒頭、神津会長からは、働く者一人ひとりが社会の持続性に関心を持ち、それを将来世代へ引き継ぐ責務があること、労働界全体の責任投資の取り組みを前進させるであろう労働金庫連合会のPRI署名について触れた。労働者自らが拠出した、または労働者のために拠出された資金に自らの意思を通わせることは労働運動・社会運動のひとつであり、そのために労使で取り組みを進めていく必要性を訴え、さらなる責任投資の普及・促進への決意を述べた。

 来賓として、急遽、国会対応のため欠席となった木下賢志・厚生労働省年金局長の代理として青山桂子・厚生労働省年金局企業年金・個人年金課長、村瀬清司・企業年金連合会理事長、中江公人・労働金庫連合会理事長より挨拶を受けた。
 青山課長は、GPIFや年金基金は中長期的な運用が求められるとし、10月1日よりGPIFは労使の経営委員を含む合議制になることに触れ、厚労省は公的年金・企業年金ともに適切な運用がなされる環境を整えると述べた。
 村瀬理事長は、2017年3月に厚労省と連携して「企業年金と日本版スチュワードシップ・コード」の報告書を作成したことに触れ、責任投資が日本経済の好循環と企業の安定に資することを期待するとした。
 中江理事長は、2017年9月8日に、預金取扱金融機関では国内初となるPRI署名について触れ、今後、労働金庫連合会は組合員のため、連合の責任投資の取り組みに寄与すると述べた。

 続いて、基調講演として、河口真理子・株式会社大和総研調査本部主席研究員と髙橋則広・GPIF理事長より講演を受けた。
 河口主席研究員は、社会や環境の持続性を考慮しないと企業経営が成立しないこと、特にリーマンショック以降、金融機関自身の社会的責任・金融の責務として責任投資に取り組み始めたことを背景に、世界の運用市場全体に占めるESG市場のシェアは2014年の2割から3割へ増加し主流化していると述べた。また、企業は従業員教育や環境配慮などESGの取り組みの結果として収益を上げているため、企業の価値を予想するには収益ではなくESGを見ることが効果的であるとした。環境や人権に配慮した社会を作っていくための持続可能なお金の流れの構築には、お金の所有者である当事者一人ひとりの意識と行動が求められると訴えた。
 髙橋理事長は、GPIFのスチュワードシップ推進活動の取り組みを述べた後、運用受託機関に企業との建設的な対話を促すといった市場におけるGPIFの役割に触れた。今回採用したESG指数の選定にあたっては、ポジティブ・スクリーニングを基本としていること、公開情報をもとに企業のESGを評価し、その評価手法や評価結果を開示していること、評価会社のガバナンス体制・利益相反管理の3点を重視したと説明した。最後に、責任投資の手法が永続的に使われるにはカルチャーづくりが必要であり、「社会を良くしたい」という共通認識が重要と訴えた。

 後半のパネルディスカッションでは、連合・新谷副事務局長をモデレーターとして、松﨑毅・キッコーマン株式会社常務執行役員CHO人事部長、新井好司・全国労働金庫労働組合連合会中央執行副委員長、桂照男・企業年金連合会参与コンプライアンス・オフィサー、基調講演をいただいた河口主席研究員によって企業年金への責任投資の導入に関する議論を行った。
 松﨑常務執行役員CHO人事部長は、キッコーマン株式会社が1917年の設立当時から社会的責任を訓示としており、消費者や地球環境に資するという現在の経営理念を紹介した。そしてESG投資において、企業が「投資する側」「投資される側」どちらの視点も意識する重要性を訴え、課題として、ESG投資のさらなる社会的関心の喚起を示した。
 新井中央執行副委員長は、2010年に連合が作成した責任投資ガイドラインなどを契機に、2016年に全労金の資産運用基本方針にESGの重視が明記されたことを述べた。またその間の労働組合としての課題認識や悩み、これから取り組みを進めて行くにあたっての運用受託機関とのやりとりにおける課題などを示した。
 桂参与コンプライアンス・オフィサーは、今後、企業年金はスチュワードシップ活動の実施やスチュワードシップ・コードの受入推進が求められると訴えた。そのため、厚労省や金融庁による、日本版スチュワードシップ・コードの周知や情報提供、環境整備が重要とした。

 最後に、逢見事務局長より、連合本部としても、構成組織・単組向けの学習機材の提供や学習会への講師派遣などを通じて、責任投資の目的や意義を理解浸透させるための取り組みを継続していくことを述べ、シンポジウムを閉会した。
  • 神津会長
  • 大和総研 河口主任研究員
  • GPIF 髙橋理事長
  • パネルディスカッションの様子
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