事務局長談話

 
2015年12月17日
民法の夫婦同姓規定および再婚禁止期間規定に関する最高裁判決についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人

  1. 2015年12月16日、最高裁判所大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は、女性の再婚禁止期間を定めた民法の規定について、現行の6ヶ月のうち、100日を超える部分について違憲と断じた。この判決については一定の評価ができるものである。しかし、依然として再婚禁止期間が100日残ることは、立法趣旨も含め、見直すべき課題である。
     一方、いわゆる選択的夫婦別姓を認めない民法の規定については、合憲であるとの判断がなされた。この判決については、残存する男女の不平等法制の是正がさらに遠のいたという点で極めて問題があり、誠に遺憾である。

  2. 職場では、多くの女性が結婚により姓を変更せざるを得ないことにより、個人識別の煩雑化や女性の実績評価などで不利益を被っているとの声が数多くある。判決では「通称使用」によって不利益は緩和されているとの見解が示されているが、必ず通称が使用できるわけではなく、公文書などでは原則戸籍名しか認めない場合が多い。今回の判決において、女性裁判官全員を含む5人が反対意見を述べていることからみても、制度自体が生じさせる女性の困難の実態を省みず、「通称使用」を過大評価している点に関して、司法は現場の声を汲み取らなかったとの指摘を免れない。

  3. いわゆる選択的夫婦別姓を認めないことに関しては、国連女性差別撤廃委員会などから、再三に渡り改善を求められてきた。今回の判決はこうした国際社会からの要請を顧みないものである。また、判決では、夫婦同姓に一定の不利益性を認めているにもかかわらず、現行制度を違憲と判じないことは、現代社会の多様性を踏まえないものである。加えて、法制審議会が選択的夫婦別姓の導入に関する民法改正案を答申してから約20年間も経過している中で、何らの立法措置も取られていないことについて、国会は真摯かつすみやかに対応すべきである。

  4. 連合は、これまでも志を同じくする様々な主体とともに、民法改正運動の一角を担ってきた。引き続き男女平等社会を実現する観点から、少なくとも国連人権条約や女性差別撤廃条約を遵守する水準へと改善すべく、選択的夫婦別姓の実現をはじめとする家族法制の改善など、民法における女性蔑視の解消を求める運動を強力に展開していく。また、再婚禁止期間の短縮に関する法改正に関しては、国会が1日も早く実現することを強く求める。


以上