事務局長談話

 
2015年02月10日
2015年度介護報酬改定に関する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  2月6日、厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会は「2015年度介護報酬改定」について答申を取りまとめ、厚生労働大臣に答申した。改定率については、政府の予算編成において大幅なマイナス2.27%と決定されており、地域包括ケアシステムの推進や、介護職員の処遇改善の取り組みを後退させるような改定がなされたことは遺憾である。

  2.  改定の主な内容は、介護職員処遇改善加算の拡充として1.65%、中重度者・認症高齢者に対するサービス拡充として0.56%、基本サービス費の適正化としてマイナス4.48%の改定率で、全体ではマイナス2.27%の改定率となった。一方では、介護職員処遇改善加算については、加算の継続と増額がされている。
     また、要件関係については、訪問介護事業所におけるサービス提供責任者の配置要件を緩和することや施設における看護職員の兼務を可能とするなど、規制緩和の方向性が明確となっている。一方、介護療養型医療施設について、重度者の対応を重点的に行う施設を評価する新たな加算が創設されたが、2017年度末までの施設の廃止方針に逆行しかねない問題が生じている。

  3.  連合は、2025年の地域包括ケアシステムの構築、認知症高齢者の増加を踏まえた在宅サービスの拡充が必要であり、介護報酬改定はマイナスとすべきではないこと、介護職員の確保・処遇改善、介護サービスの質の向上に資する改定を求めてきた。答申では、介護職員処遇改善加算の拡充がはかられたことは評価できるものの、介護報酬の基本サービス費は大幅なマイナス改定となった。これによって、介護事業者の介護事業からの撤退が懸念され、その影響を十分検証する必要がある。また、処遇改善加算については、各事業所において確実に算定され、実際の賃金改善ならびに労働環境の改善につながるよう、積極的な取り組みが求められる。

  4.  要介護・要支援者の増加・重度化、加えて認知症の増加によって、介護者への負担は一層重くなっている。介護離職者が年間10万人を超えるなか、介護サービスの質・量の充実に加え、介護をしながら働き続けられる制度的支援の拡充は急務である。しかし、介護サービスの担い手である介護労働者の賃金は依然として著しく低く、定着率が低い。連合は、利用者の立場に立って良質で安定的なサービス提供体制の確立をめざすとともに、介護職の専門性・社会的地位をさらに高め、介護労働者が誇りとやりがいをもって働き続けられるよう、構成組織・地方連合会と連携を強めながら引き続き介護労働者の処遇改善に取り組んでいく。


以上