事務局長談話

 
2013年10月02日
消費税率の引上げについての閣議決定に対する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 南雲 弘行

  1.  10月1日、政府は、消費税率の引上げとそれに伴う対応について閣議決定し、閣議後の記者会見で安倍首相は、消費税率を2014年4月に5%から8%へ引き上げることを表明した。消費税率の引上げについては、もとより、昨年成立した社会保障・税一体改革関連法に基づき実施されるべきものであるが、それにより実現を目指す「全世代支援型」社会保障制度への転換および制度の充実・安定化に向けた道筋が明確に示されていないことは遺憾である。政府は、国民一人ひとりが増税に対する受益と負担について納得し、将来に向けた安心を担保できるよう、残された課題解決を図りつつ、説明責任を果たすべきである。

  2.  消費税率の引上げを「単なる増税」ではなく、将来に向けた安心を担保するものとするには、いくつかの課題がある。まずは、社会保障制度改革国民会議の報告書で先送りされた高齢者医療制度と年金制度の抜本改革の方向性を明示するとともに、消費税の負担増を医療・介護分野にどのように還元するかを具体的に示すべきである。また、低所得者への逆進性対策や中小事業者における適正な価格転嫁のための対策を着実に実行するとともに、消費税の制度的不備の是正や税による所得再分配機能の強化など税制改革の全体像を示す必要がある。さらに、議論が棚上げとなっている議員定数削減など政治家が身を切る施策について早急に議論を進めるべきである。

  3.  また、政府は、投資減税の拡充に加え、5兆円規模の経済対策を12月上旬に策定することとした。これらの内容は、企業への減税や公共投資を中心とするものであり、財源については、税収の上振れや剰余金などを充てることが検討されている。このような対策により、消費増税による景気の下振れリスクに対応するとともに、成長力の底上げと経済の好循環の実現を図り持続的な経済成長を目指すとしているが、国民の暮らしを底支えするという視点や財政規律に対する配慮が欠如しており、問題が多い。政府は、真に必要な経済対策についてその目的と財源を明らかにするとともに、国会における与野党の真摯な議論を通じて規模・内容を十分に精査する必要がある。あわせて、働く者の安定・安心に逆行する労働分野の規制緩和などの検討を即刻取り下げ、生活者・働く者の立場に立った施策を実行すべきである。

  4.  連合は、「働くことを軸とする安心社会」を支える社会保障と税の一体改革として、当時の社会保障改革に関する集中検討会議への参画などを通じ、その実現に取り組んできた。今般の消費税率の引上げにより実現される社会保障制度改革の実行が、国民の将来不安を払拭し、社会の安心と安定の基盤強化の要素となり、ひいては消費の拡大や新たな産業・雇用の創出につながるよう、強く求めていく。


以上