事務局長談話

 
2013年06月17日
「日本再興戦略」および「規制改革実施計画」の閣議決定に対する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 南雲 弘行

  1.  6月14日、政府は「日本再興戦略」および「規制改革実施計画」を閣議決定した。
     安倍政権の成長戦略として策定された「日本再興戦略」は、良質な雇用の創出や社会的セーフティネットの強化など、真に国民の暮らしと雇用の安定・向上につながる政策が欠如しており、持続可能な経済成長を見通すことができるものとはいえない。また、「規制改革実施計画」については、効率と競争を最優先する実施計画を定めた内容であり、国民生活の安心・安定の確保という観点からは問題が多い。

  2.  「日本再興戦略」では、雇用制度改革として「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換」を掲げている。しかし、既存産業と比較して、より生産性が高く、働く者にとってより魅力のある処遇・労働条件が整備された新しい成長産業が創出されていない段階で労働移動を促すことは、失業者の増大と社会の混乱を招くものであり許されない。
     また、女性の活躍促進や就業率向上をうたっているが、妊娠・出産と仕事の両立や職場環境の整備など、女性の就業継続に対する現実的な対応は不十分である。
     さらに、公的年金積立金の運用について、民間活力の促進や日本の競争力強化の観点からそのあり方の検討が掲げられたことは全く納得できるものではなく、被保険者と受給者の利益のために検討を行うべきである。また、先進医療の拡大にあたっては、医療の質が確保された国民皆保険の堅持を前提とすべきである。

  3.  「規制改革実施計画」では、雇用分野として、「ジョブ型正社員の雇用ルールの整備」、「企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制等労働時間法制の見直し」などに重点的に取り組み、今年度に検討を開始するとしている。当初の議論からは抑えた内容となっているが、ジョブ型正社員は解雇規制の緩和という観点で議論されてきた経緯がある。また、6月5日に規制改革会議が取りまとめた答申では、労働時間規制に関する適用除外制度(ホワイトカラー・イグゼンプション)も検討項目として残されている。民主党政権で前進させた労働者保護ルールを改悪させる動きを断じて許すわけにはいかない。
     健康・医療分野では、一般医薬品のインターネット販売が盛り込まれたが、健康被害の拡大につながりかねない全面解禁には反対であり、同販売を可能とする医薬品の範囲、実効ある安全性確保の方法等について、公正な検討を行うべきである。

  4.  わが国経済の再生に必要なことは、少子高齢化の進行、貧困と格差の拡大、不安定・低賃金労働の増大などの課題に真摯に向き合い、格差是正や暮らしの底上げにつながる政策を着実に実行していくことである。連合は、「働くこと軸とする安心社会」の実現に向けて、政府・政党への要請行動をはじめ、働く者の立場からの政策・制度の実現に向けて取り組んでいく。


以上