事務局長談話

 
2011年07月25日
厚生労働省・労使関係法研究会報告書についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1.  厚生労働省の労使関係法研究会(座長:荒木尚志・東京大学教授)は、労働組合法上の労働者性の判断基準について「報告書」をとりまとめ、本日、公表した。近年、形式上は業務委託や請負などで就労する労働者が、労働組合法上の労働者に当たるか否かをめぐり、労働委員会の命令とは異なる判断が下級審において示されてきた。こうした中で、「報告書」が、労働組合法が保護の対象としている労働者とはいかなるものなのかを示そうとしたことは評価できる。

  2.  労働組合法上の労働者は、労働基準法上の労働者とは別に定義された独自の概念であるにもかかわらず、労働組合法上の労働者性の判断にあたって、労働基準法上の労働者性の判断基準が参照されるという問題点が指摘されてきた。「報告書」は、労働組合法上の労働者は、労働基準法上の労働者や労働契約法上の労働者とは異なり、団体交渉法制による保護を与えるべき対象者という視点から検討すべきとしている。そして、労働組合法上の労働者には、「売り惜しみのきかない自らの労働力という特殊な財を提供して対価を得て生活するがゆえに、相手方との個別の交渉力に格差が生じ、契約自由の原則を貫徹しては不当な結果が生じるため、労働組合を組織し集団的な交渉による保護が図られるべきものが幅広く含まれる」としている。

  3.  「報告書」は、本年4月の2つの最高裁判決等を分析し、労組法上の労働者性の判断要素を整理している。「基本的判断要素」として[1]事業組織への組み入れ、[2]契約内容の一方的・定型的決定、[3]報酬の労務対価性、「補充的判断要素」として[4]業務の依頼に応ずべき関係、[5]広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束、をあげている。また、顕著な事業者性が認められる場合は、労働者性を消極的に解し得る判断要素として勘案されるとしている。これらは今後広く活用されると思われるが、機械的・形式的に運用されることがないよう留意が必要である。労働者性の判断は、契約の形式ではなく、就労の実態を重視して判断されることが重要である。

  4.  今回の「報告書」により、形式上は業務委託や請負で働く人たちの、憲法第28条の団結権・団体交渉権・団体行動権の保障につながることが期待される。しかし、労働者性判断にあたっての経済的従属性と使用従属性の関係や、労基法上の労働者性の判断基準の見直しなど、依然として課題は残されている。連合は、労働法の趣旨に照らして、必要な保護が必要な労働者に保障されるよう、組合組織化や組合加入の取り組みともあわせて、これらの課題に取り組んでいく。


以上