事務局長談話

 
2011年06月28日
東日本大震災復興構想会議「提言」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1.  東日本大震災復興構想会議(議長:五百旗頭真防衛大学校長、)は、6月25日、「復興への提言~悲惨の中の希望」を取りまとめ、菅首相に提出した。
     「提言」は、5月に確認された「復興7原則」を土台に、「新しい地域のかたち」「くらしとしごとの再生」「原子力災害からの復興に向けて」「開かれた復興」の4つを柱に策定されている。
     その上で、[1]都市計画法や農業振興地域整備法など、土地利用手続きの一本化、農地と宅地の換地などを円滑に進める仕組みの検討、[2]被災地再生を高齢化社会のモデルと位置づけ、福祉分野を基幹産業とした雇用の確保、特区の活用、復興債の発行とその償還財源として基幹税を中心とする検討、[3]放射線量の測定や住民の健康調査の徹底、福島県を放射能汚染の除去や再生可能エネルギーの研究、実践の場として検討、[4]、再生可能エネルギーの導入拡大、「減災」の考え方に基づく、防波堤や防潮堤の整備と防災教育を組み合わせた災害に強い国土構築、等を主な内容としている。
     今後は、全閣僚からなる復興対策本部が設置され、提言で盛り込まれた内容に基づき、具体的な推進計画が策定されていくことになるが、各被災地域との十分な協議による計画策定とその着実な遂行を強く期待する。

  2.  連合は、復興構想会議に対して、[1]それぞれの地域特性に着目して、地域の資源を活かした地場産業や新たな産業の立地・創出等による地域雇用と経済の再生を併せて図る、[2]被災地域が守り続けてきた伝統ある文化や地域社会の強いコミュニティは守り育てていく、[3]人口減少、高齢化等の課題に果敢に取り組み、環境と調和するシステムを構築するなど、わが国をリードする先駆的な地域の創出を目指すことが重要である旨、主張してきた。
     「提言」には、これら連合の主張が盛り込まれており、一定の評価をもって受け止める。

  3.  また、東日本大震災からの復興は、福島第一原子力発電所被災地の復興を抜きにして考えることはできない。被災地の復興に着手するためには、一刻も早く原発事故を収束させることである。
     そして、今回の原発事故の徹底した原因究明とその影響の評価、安全確保の体制の再構築などを通じて、国際的な信任を得ていかなければならない。

  4.  日本の経済・社会は、急激な少子化・高齢化が進み、人口や世帯数が減少を続ける中で危機的な状況に直面している。産業・企業は、より多くの需要を求めて生産拠点の海外移転を始めている。低成長・デフレからの脱却もできておらず、財政難から思い切った対策を講ずるための財政出動もままならない現状にある。
     今回の大震災は、そうした日本経済・社会の構造変化を背景とする経済停滞の中で発生した。被災地域の復興と共に、日本経済・社会が力強く浮上するよう取り組んでいく必要がある。景気は回復の兆しが見えてきたと言われるが、1-3月期のゼロ成長に加え、震災による国民の買控えや自粛ムード、さらに、空洞化、円高等、景気回復の足かせとなる材料も多い。
     こうした課題を克服するためには、震災復興対策のための第2次、3次補正予算案の早期編成と新成長戦略の着実な実施、さらに抜本的な円高・空洞化対策や雇用創出・産業構造転換を含めた総合対策などが強く求められる。

  5.  東日本大震災からの復興に当たっては、被災者、被災地の住民のみならず、今を生きる国民全体が相互扶助と連帯の下でそれぞれの役割を担っていくことが必要不可欠である。
     連合は、労働運動の社会的使命として、被災地での救援・復旧活動に引き続き取り組むとともに、総力を挙げて、この国難に打ち勝つべく、全力で取り組みを展開していく。


以上