事務局長談話

 
2011年04月12日
労組法上の労働者性判断に関する最高裁判決についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1. 本日、最高裁判所第三小法廷は、労組法上の労働者性が争点となっていた新国立劇場合唱団員事件について、原判決の破棄・差戻しとの判決を下した。本判決では、労働者性を否定した東京地裁・東京高裁の判断を覆し、オペラ合唱団員の労働者性を肯定した。さらに同日、最高裁同小法廷は、業務委託契約でメンテナンス業務に従事する者についても、労組法上の労働者性を肯定する判断を示した。これらは、団結権、団体交渉権保障の趣旨に沿ったものとして、極めて重要な判断である。

  2. 新国立劇場合唱団員事件」最高裁判決は、合唱団員が不可欠な歌唱労働力として事業組織に組み入れられていたこと、個別公演出演の申し込みに応ずべき関係にあったこと、指揮監督下において歌唱の労務を提供していたこと、報酬は歌唱の労務の提供の対価であることなどの要素を挙げ、これらの事情を総合考慮して合唱団員は、労働組合法上の労働者にあたると判断した。一連の最高裁判決は、一般的な基準や要素は提示されていないが、労働の実態を踏まえた重要な労働者性の判断である。

  3. 労働組合法は、憲法28条が保障する団結権、団体交渉権、団体行動権を踏まえ、労働組合に積極的な保護を与えるものである。この保護の対象となる労働者として、労組法3条は、「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」と定義し、労働委員会や裁判所はこれまでも広く保護の対象を認めてきた。しかし、近年、労組法上の労働者性については、労働の実態によらず契約の形式を重視した下級審の判決が相次いで出され、大きな課題となっていた。

  4. 今回の判決は、個人請負や業務委託契約で働く労働者が、労働組合を結成し、労働条件の維持・向上に向けて集団的労使関係の下で取り組むことに対して、大きな力となる判決である。近年、実態としては労働者であるのに個人請負や業務委託の形式で業務に従事する労働者が増加している。連合は、この間、ソクハイ・ユニオンなどの組合づくりに取り組むとともに、労働者性問題に関するシンポジウムの開催など世論喚起の取り組みを行ってきた。今後も、引き続き、個人請負・業務委託で働く仲間も含めた労働者の組織化と労働者の権利確保に全力で取り組む。


以上