事務局長談話

 
2010年04月12日
職業能力開発総合大学校(独立行政法人雇用・能力開発機構)の事業仕分けに関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1.  4月12日、厚生労働省は、独立行政法人雇用・能力開発機構などに関して、大臣を含む政務三役と外部民間有識者による省内事業仕分けを開催し、職業能力開発総合大学校については養成訓練を廃止し、現役指導員に対する再訓練に重点化する方向で議論が行われた。最終結論は見送られたものの、これは、これまで多くの職業訓練の指導者を輩出してきた国の基本的機能を放棄し、今後の人材の育成と我が国の発展に深刻な影響を及ぼしかねない内容であり、重大な懸念を表明する。

  2.  仕分けによって国は、事業の効率化と引き替えに、新たに職業能力開発の指導者を志す者の門戸を閉ざすことになりかねない。しかし現下の厳しい雇用失業情勢にも拘わらず、その補完、代替機能などについては十分な議論がなされていない。また、昨年12月30日に政府が発表した「新成長戦略」によれば、政府は市場原理主義から脱却し、「雇用・人材」を「成長のプラットフォーム」に位置づけていくとの考え方が示されているが、今回の仕分けは、こうした政府の基本戦略との整合性についても疑問を残した。

  3.  連合はかねてより、様々な場を通じて雇用や人材に関する国の関与の重要性を訴えてきた。厚生労働大臣に対しても、去る3月23日、公労使三者による労働政策審議会職業能力開発分科会の報告を通じて、当該総合大学校については、「引き続き、指導員の養成訓練や再訓練を的確に実施していくべき」としたばかりである。しかし仕分けでは、国際ルールであるILOの三者構成主義に基づくこの審議会報告に対する言及がないままに終わっている。

  4.  国は、事業主の行う職業訓練や労働者が自ら職業に関する教育訓練を受ける機会の確保の促進などに努めなければならない。これは職業能力開発促進法などに定められた国の責務である。連合は、こうした法の趣旨などにのっとり、当該仕分け事業のユーザーである労働者はもちろん、事業の費用負担者である使用者など、当事者を含めた議論を通じ、慎重かつ長期的視野に立った結論を導くよう厚生労働省に対して強く要請していく。


以上