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2010年度診療報酬改定について〜地域医療の再生と患者本位の医療の実現を〜


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 2010年度診療報酬改定が4月1日に行われます。今次改定では、医療現場の疲弊や医師不足、厳しい保険財政などによる「医療危機」を基本認識としつつ、「救急、産科、小児、外科等の医療の再建」、「病院勤務医の負担の軽減」が重点課題とされました。

 その結果、改定率は10年ぶりに0.19%のプラス改定となり、救急入院や周産期の入院・外来、小児急性期救急医療等に対し手厚い評価が行われることになりました。また、病院による在宅療養支援や、在宅復帰後を見越した地域連携の評価なども行われることになりました。

 その一方で、15対1入院基本料や、医療必要度の低い患者が一定以上入院する療養病棟入院基本料は引き下げられることになります。

 また、「患者からみて分かりやすく納得でき、安心・安全で、生活の質にも配慮した医療を実現する視点」から、診療「明細書」の無償発行が原則義務化されます。

 なお、薬価改定率はマイナス5.75%(薬価ベース)となり、後発品のある先発品の薬価追加引下げ行われます。その一方で、未承認薬・適応外薬の開発促進のために一定の条件の下で特許期間中の医薬品の薬価を引き下げない「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」が、2012年度改定までの間試行導入されることになりました。

2010年度診療報酬改定のポイント

全体改定率は0.19%、10年ぶりのプラス改定となります。

 内閣が2009年12月に示した改定率は、全体でプラス0.19%(本体部分プラス1.55%、薬価・材料部分マイナス1.36%)。医科・歯科・調剤別の内訳はそれぞれ1.74%、2.09%、0.52%。
  今次改定では、内閣が初めて入院・外来別にそれぞれ3.03%、0.31%の改定率を示しました。これまでの改定では、入院・外来などの配分の在り方について内閣が示すことはなく、厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会と同医療部会が示す「平成22年度診療報酬改定の基本方針」を受けて、中央社会保険医療協議会が検討してきました。
  なお、診療報酬改定がプラス改定されることは、患者の自己負担(3割)の金額がアップすることを意味します。

再診料が病院・診療所とも690円で統一されます。

 2009年度までの診療報酬では、再診料について病院(200床未満)は600円(60点)、診療所は710円(71点)の格差がありました。再診料は病院は入院、診療所は外来との役割分担の観点から、1985年度より診療所について高く設定されてきました。しかし、支払側は一物一価の原則から再診料の統一を求めてきました。その結果、2010年度改定では、690円(69点)で統一されることになりました。

 なお、初診料については1992年度より14年間診療所の方が高い状況が続きましたが、2006年度に2700円(270点)で統一されています。

医療機関に診療「明細書」の無償発行が原則義務化されます。

 今改定では、「患者の視点」を重視するため、患者に対し診療「明細書」を無償で発行することが、保険医療機関等に原則として義務化されることになりました。2006年度診療報酬改定で「領収書」の発行義務化から4年。組合員による「お医者さんにかかったら領収書をもらおう」キャンペーンの取り組み、政府に対する粘り強い要請、そして勝村久司・連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の活動による成果です。

 「明細書」の発行で、自分の受けた医療の内訳を把握することができるようになります。これは、医療の透明化に向けた大きな契機となることが期待されます。

 しかし、明細書発行機能のないレセプトコンピューターや、改修が必要な機器を使用しているなど「正当な理由」のある医療機関は、発行をしない、または費用の徴収を求めることが可能とされています。

外来管理加算の「5分ルール」が廃止されます。

 一定の処置や検査等を実施せずに計画的な医学管理を行った場合に算定できることとされている「外来管理加算」(520円)について、「概ね5分を超えて直接診察を行っている場合に算定できる」とされている基準が廃止されます。この「5分ルール」は2008年度改定で導入されましたが、処置や検査等が行われない場合に加算されることからわかりにくい、特に内科の診察を時間で評価することはなじまない、などと、患者・医師双方から見直しを求める意見が強まりました。

 結果として、患者からの投薬要請で「簡単な症状の確認等を行ったのみで継続処方を行った場合は算定できない」との新要件が設けられることとなりました。問診や検査等を行わなければ処方できないため、ほとんどの場合に外来管理加算が算定される懸念があります。

関連資料

  中医協
(厚生労働省)
社会保障審議会
(厚生労働省)
内閣・厚生労働省 連合 健保連等
支払側
2009年11月        
2009年12月  
2010年1月      
2010年2月      
2010年3月        

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