りきおのオピニオンスタジアム

 
2014年8月19日
第28回「リアリティーをどこからつかみとるか」

~ドラマか、それともドキュメンタリーか~

 8月15日の前後に、奇しくも同じペリリュー島での戦史に関わる二つのテレビ番組がありました。その両方を見ることにより、あらためてあの戦争の記憶をどうつないでいくかという問題に思索をめぐらすこととなりました。
 一つは、米軍の海兵隊基地倉庫に埋もれていた実写フィルムにより構成したドキュメンタリー、そしてもう一つは、挿話を加えてつくりあげたドラマ(フィクション)です。
 ペリリュー島(パラオ)では1944年9月~11月の77日間、逃げ場のない小島で日米の死闘が繰り広げられました。約1万人の日本軍のうち生き残った者は30名余という、文字通り血で血を洗う戦いでした。ドラマは生身の人間の生きざまを表現することによって、そしてドキュメンタリーは凄惨な現場を冷徹に映像で示すことによって、その理不尽さ、非人間性に迫っていました。
 ドラマでは、生きている者どうしの「愛情」が一つのテーマでした。一方ドキュメンタリーでは、仲間への屈辱的な仕打ちに対する仕返しを誇らしげに語る生存者の口から、「憎悪」の感情が語られていました。
 どちらも実像を伝えているものだと思います。ただ、きれいごとだけ済む話ではないし、事実の羅列だけで語ることなどできるはずがない。どちらかだけでは実像を伝えきれないということでしょう。

~祈ることも大事、行動も大事~

 いずれにしても、平和を守る、そしてその大事さを語り継ぐためには「リアリティー」が不可欠です。そのリアリティーをつかみとるためには、一人ひとりが様々な場面で気付きを得ていくことが大事であると思います。まさに、ドラマだけではつかみとれない、ドキュメンタリーだけでもつかみとれない、そのはざまで模索をし続けることこそが私たち人間の営みです。
 よく言われることですが、祈るだけでは平和は実現しません。しかし抑止力だけでも平和は実現しません。
 大事なことは、人類がこれまで、究極の抑止力が核兵器だという世界をつくってしまったことに対し、人間一人ひとりがどのようにしてリアリティーを持って向き合い、対処していけるのかという問題です。私たちが絶対に忘れてはならないリアリティー、それは、人類がこの核兵器を二度までも使ってしまったという事実です。
 終戦記念日の討論番組で語っていたあるNPOの女性の発言が耳に残りました。「祈ることも大事。行動も大事」
 核兵器廃絶1000万署名、ともに取り組んでいきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(神津)

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