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2014年4月7日
第15回「『労働者保護ルールの改悪』が『着々と』進んでいる」

 足もとでは集団的自衛権やTPPに焦点があたっていますが、その陰で、労働者保護ルールを揺るがす政策が「着々と」進んでいます。

~「生涯ハケンで低賃金」の派遣法“改悪“法案~

 そのひとつが、3月11日、国会に提出された労働者派遣法の改正法案です。改正法案では、業務区分による期間制限の考え方が撤廃されます。派遣元で有期雇用の場合、3年ごとに、過半数労働組合などの意見を聞けばいくらでも更新可能であり、派遣会社に無期雇用されている人であれば、意見を聞く手続きさえ不要です。また、派遣先の社員との間の均等待遇の確保については、ほとんど前進していません。

 派遣を切られた挙げ句に派遣会社の寮からも追い出された、5年前の「年越し派遣村」の悲劇に、党派を超えて政治が動き、派遣法史上初めて労働者保護のための規制強化が行われたのは、わずか1年半前のことです。この規制強化から、また規制緩和路線に逆戻り。それも以前よりかなりドギツイ内容となってしまっています。まるで派遣会社にとってはマージンを取り続ける体制をつくり、派遣先にとっては「安上がりで使い勝手のよい派遣労働者」を確保するための改正と言わざるを得ません。

 「派遣は臨時的・一時的な働き方」、「均等待遇の確保」は、欧州はもちろん韓国や中国でも法律に明記されている派遣労働における「世界標準」なのです。それなのに、日本では「原則」という形ですら法案に盛り込まれていないのです。連合は労働政策審議会報告において、改正法案における期間制限のあり方、均等待遇原則について反対意見を付けざるを得ませんでした。

 連合本部は4月2日の東京駅前での街宣行動など世論に訴えかける取り組みを強めています。全国の地方連合会でも労働者保護ルール改悪阻止の集会や地方議会決議などに取り組んでいます。若い人が希望をもって働ける雇用社会をつくることは、大人である私たち、社会の責任です。国会議員の皆さんも自分たちの息子、娘の将来世代の雇用に対して責任ある論議をしてもらいたいと、切に思います。

~労働時間の新たな適用除外制度?世界トップレベル労働時間制度の検討??~

 そして今、労働時間制度の議論が行われています。

 厚生労働省の労働政策審議会では、裁量労働制の見直しなどのほか、「一部の事務職、研究職等に適した労働時間制度」の必要性や在り方が論点に掲げられています。内閣府の規制改革会議では、「労働時間の量的上限規制」「休日・休暇取得に向けた強制的取り組み」「一律の労働時間管理がなじまない労働者に適合した労働時間制度の創設」の三位一体による「労働時間の新たな適用除外制度の創設」が提起されています。

 また、総理が議長の産業競争力会議でも、「長時間労働の抑制による労働者の健康確保の徹底」「休日・休暇取得によるワーク・ライフ・バランスの促進」「労働者の処遇確保を図りつつ、業務遂行について裁量をもって働く労働者が創造性を発揮できるような弾力的な労働時間制度の構築」を三位一体で進めることが提起されています。しかし、この「三位一体」という言葉には大きなまやかしが含まれています。弾力的な労働時間規制、すなわち、労働時間規制の適用除外を行った企業だけを対象に、前二者の規制を強化するというものであって、「三位一体」ではなく、適用除外がまずありきで他の二つは従属する項目です。

 そして、これらの議論はそれぞれで検討中であり、スローガン先行気味で、内容が同じなのか違うのかよくわからないというのが正直なところです。

 3月25日に規制改革会議の労働時間法制に関する公開ディスカッションがあり、連合の考え方を述べてきました。これに対し、同会議の提起する「三位一体」の適用除外制度についての賛否を再三問われました。私からは、過重労働の実態が改善していない現状にあって、労働時間の上限規制やインターバル規制の導入は、すべての労働者を対象に検討すべきであり、「三位一体」ありきではないということを強調してきました。

 政府は、今年6月ごろに改定される成長戦略に「弾力的な労働時間制度」を盛り込もうとしています。5月に入ると、政府内での検討が急ピッチで進むことも予想されます。本質的な議論を置き去りにして残業代不払いの合法化を進めるようなことがないように国民みんなで監視していかなければなりません。

(神津)

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