りきおのオピニオンスタジアム

 
2014年3月31日
第14回「『解雇特区』のゾンビですか?」

~わからないことだらけの国家戦略特区~

 28日、政府の国家戦略特区諮問会議において、6つの区域の特区指定の方針が出されました。

 私は経済が本当に活性化されて働く者が幸せになるのであれば特区の考え方は大いに歓迎したいと思いますが、今回の内容には、そういうことに結びつくとはとても思えない、どう考えても意味がよくわからないものがあり、たまらずキーボードをたたきはじめた次第です。

 6区域のなかで福岡市の特区指定は、「雇用改革等を通じ国内外からの人と企業を呼び込む」とするものです。そして今回、「雇用指針」が提示されています。この「雇用指針」、労働政策審議会労働条件分科会でも報告されたものですが解雇や退職勧奨等、様々な労働契約上の局面の定義や判例が盛り込まれたものです。企業の労務担当者や、労働組合の役員にとって、勉強にはなるのかなと思いますが、これをもってどうしろということなのでしょうか?福岡市においてはこれを積極的に使い外資企業やベンチャー企業を誘致してくださいということなのかもしれませんが、それは特区だけの話なのでしょうか?良いことならば日本全国で促進すればいいのではないでしょうか?特区ならではの意味がどうしてもみつけられないのですが、そう考える方がおかしいのでしょうか?

 まさか区域指定の実績をあげるためにあえて設けられたものではないと思いますが、もし他の区域指定もこんなわかりにくいものだとすると、経済の活性化も前途多難であるなと、つい思ってしまいます。

~要は「クビにする方法をわかりやすく指南します」なのですか?~

 結局いくら考えても、これは、あの「解雇特区」発案からの流れだとしか理解できません。世論の反発で影をひそめていましたが、文字通りゾンビのように姿を現したということなのでしょう。

 雇用特区には「雇用労働相談センター(仮称)」が設置され、雇用指針を活用して外資会社をはじめ、企業からの相談に対応することとされています。 
 しかし、この「雇用指針」を活用して外資やベンチャーに解雇の仕方をわかりやすく教えてあげる、ということにならないか。「相談」が、本来の意味での相談、アドバイスを超えて労働委員会のような準司法機関的な判断機能を持つこととなるべきでないことは、国会審議を通じて確認されていますが、懸念は払拭できません。

 恐ろしい話です。まかりまちがってそんな流れで企業が増えれば最初のうちは雇用も増えるでしょう。しかしそれは「クビにしやすい雇用」なのです。景気には必ず波があります。景気が悪くなったとき、真っ先にそのあおりを受けるのは働く者一人ひとりに他なりません。

 これまでも申し述べてきたところですが、そもそも労働者やその家族の最低限の暮らしや命にかかわる生存権的な基本権である、雇用・労働の問題を他の項目と同じように並列に扱って「規制」としてしまうこと自体に根本的な問題があるのです。ましてや、「岩盤規制分野」などという扱いは噴飯ものと言わざるを得ません。逆にそんなしっかりした岩盤のようなものであったら、「過労死」や「ブラック企業」などという言葉は生まれるはずもなかったのではないですか?

 このままでは、「岩盤規制を打破するためのドリル」は、国民の雇用を打ち砕く「悪魔のドリル」になってしまいます。私たちの主張を幾重にも重ねて防御していかなければなりません。

(神津)

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